年金の最低保証額が確保されるにはどうしたらいいの?

老後を年金だけで過ごすことが難しいと言われる背景には、高齢期の生活費を賄うだけの年金収入が確保できない場合が多いからです。

そのため、年金収入の確保だけでなく、それ以外の収入源や貯蓄の確保も重要となります。

以下に、それぞれの観点から具体的な対策を説明します。

働き方と年金最低保証額

年金の収入は、一部が基礎年金として保証されますが、厚生年金などの雇用保険型年金はその人が働いた年数や給料の額によって決まります。

つまり、最低保証額以上の年金を確保するためには、一定期間以上働き続け、そして給料を上げることが求められます。

雇用形態によってはパートタイムや契約労働者でも厚生年金の対象になるので、自分の働き方によっては厚生年金に加入できる可能性があるか調べてみるとよいでしょう。

また、自己都合による未納や遅納は受給額を減らすだけでなく、最低保証年数(2023年現在は10年)に達しないと基礎年金すら受け取れない可能性があるため、保険料はきちんと納めることが大切です。

さらに、低所得者向けの保険料支払い特例や障害者、生活保護受給者、学生などの特例措置があるため、自分が該当するかどうかを調べ、適用を受けることも重要です。

新NISAの活用

新NISAは一定の金額までの投資利益を非課税とする制度で、その最大の特徴は税制優遇です。

これにより、投資を通じて得た利益に対する税金が免除され、手元に残る金額が増えます。

投資の選択肢は広く、国内外の株式や投資信託など自身のリスク許容度や投資目標に合わせて選ぶことができます。

ただし、投資は元本割れのリスクを伴います。

そのため、投資について基本的な知識を身につけ、リスクとリターン、自分のライフスタイルや将来設計に見合った投資商品を選ぶことが重要です。

iDeCoの活用

iDeCoは個人が自ら積立金を選択し、運用する確定拠出型の年金制度です。

厚生労働省に認定された金融商品を選んで積立を行うことができ、その運用結果が年金として支給されます。

iDeCoの大きな特徴は、積立金が所得控除対象となり、運用利益が非課税となるという税制上のメリットがあることです。

また、自身で投資先を選べるため、自分のリスク許容度や投資目標に合わせて運用方針を設定することが可能です。

ただし、運用商品の選択やリスク管理は利用者自身の責任であるため、必要な知識と理解が求められます。

財形貯蓄の活用

財形貯蓄は、企業の福利厚生プログラムの一部として存在し、その企業の労働者が活用できます。

この制度を利用すると、給与の一部を会社経由でパートナーシップを結んでいる金融機関に預ける形で、定期的な貯金が実現できます。

選択できる貯蓄形態は、パートナー金融機関の種類によります。

銀行と提携している場合は、預貯金や定期預金などが選べます。

保険会社との提携では、貯蓄型の生命保険や損害保険などを選択できます。

また、提携先が証券会社であれば、投資信託や国債などへの投資が可能で、その成果により積立金を増やすこともできます。

これらの選択肢から、自身の貯蓄目標やリスク許容度に合わせて選ぶことができます。

定期預金の活用

定期預金は金利が決まった期間、銀行に預け入れることで利息を得ることができる貯蓄形態です。

元本保証があり、金利も確定しているためリスクが低いとされています。

しかし、長期間にわたってみると、インフレーションの影響で実質的な利回りが低下する可能性があります。

また、現在の金利環境では利息も非常に低く、大きな利益を期待するのは難しいです。

そのため、定期預金は安全性を重視する場合や、他の投資の一部として組み入れる際に利用するとよいでしょう。

小規模企業共済の活用

小規模企業共済は小規模な事業主が自己の福祉を増進するための制度で、一定の要件を満たす事業主やその家族が積み立てを行うことで、老齢、障害、死亡時に給付金を受けることができます。

ここでいう小規模事業主とは、個人事業主やパートナーシップの事業主、5人以下の従業員を持つ法人の事業主などを指します。

また、共済金の支払いは原則として所得控除の対象となります。

一方、共済金の積立額や受け取り時期、給付の形態などは自由に設定できるため、自分のライフプランに合わせて計画を立てることができます。

ただし、計画的な積立と適切な管理が求められるため、専門家の意見を聞くなどして慎重に運用することが重要です。

いずれの方法も、一度に大きな金額を用意するのではなく、継続的に小額を積み立てることで、長期的に見て手堅く資産を増やすことを目指すものです。

それぞれの方法には利点と欠点があるため、自分のライフスタイル、目標、リスク許容度に合わせて選択し、複数の方法を組み合わせることでリスクを分散するとよいでしょう。

まとめ

20歳から60歳になるまでの40年間の保険料をすべて納めたと仮定した場合、老齢基礎年金として老後に、毎月66,250円を受け取ることが可能です。

ここに、収入に応じて納めた厚生年金として支払った額が加算されて、受け取る支給額が決まります。

したがって、年金支給額として最低限受け取れる金額は66,250円と計算することが可能です。

多くの方にとって、この最低額は満足できる老後生活を営むにあたっては不十分な金額と言えるので、年金以外にも老後資金を増やすために準備しておかなければなりません。

年金以外の方法は様々ですが、方法によってはリスクを伴うものなので注意してください。


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