フランスでは年金がいくらもらえるのか気になる方のために、この記事では日本とフランスにおける年金制度の違いや社会保障協定について解説。さらにフランスの年金制度の仕組みについても紹介しています。
この記事の目次
フランスの年金制度
まずは、フランスの年金制度の概要について解説していきます。
フランスの年金制度の基本的な知識
フランスの年金制度は、その歴史と多様性から非常に複雑と言われています。
以下に、主な特徴と制度の概要を簡単にまとめます。
一般的な特徴
フランスの年金制度は、納付した保険料と働いた年数に基づいています。
年金の受給開始年齢は生まれた年によって変動しますが、大まかには62歳を基準としています。
最大の特徴は、社会保険方式の所得比例型の年金制度が職種ごとに分立していることにあります。
そのため、収入に比例して社会保険料として納めなければならない税率が決まっており、職業別に収入に比例した社会保険料に加えて、さらに職業別補完年金と呼ばれる制度が存在しています。
三層構造
フランスの年金は、基本年金(第一層)、職業別補完年金(第二層)、そして個人が任意で加入する追加の年金制度(第三層)の3つの層から成り立っています。
基本年金
全ての労働者(民間商工業被用者)がこの制度に加入します。
年金の額は以下の3つの要素で決定されます
- 平均年間所得(RAM)
平均年間所得は、支払った社会保険料に基づく総所得です。RAMは、メンバーの最も収入の良い25年間を基に計算されます。
- 支払率
最大率の50%は、個人の年齢と保険期間全体を考慮に入れ、加算された四半期数と最大率を受け取るために必要な四半期数の差によって決定される割合で減少します。
最も個人にとって有利な計算が使用されます。最低率は37.5%です。
- 保険期間の長さ
保険期間の長さに応じて、支払率が決定されます。
職業別補完年金
労働者の職種や業種に応じて、補完的な年金が提供されます。
この制度は、特定の職業集団や業種団体が管理しています。
受給額
フランスの年金制度では43年の加入期間が必要で、その場合25年分の平均的収入の50%が年金として支給されます。
過去の拠出期間において最も賃金の高い25年間分の平均収入を年金支給額の計算根拠としているのが特徴です。
第三層の追加年金
これは任意の加入制度で、個人の補完的な退職準備として設けられています。
近年の動向
フランスの年金制度は人口の高齢化や経済の変動などの影響を受けており、近年では多くの改革が試みられています。
これには、受給開始年齢の引き上げや納付期間の延長などが含まれています。
総じて、フランスの年金制度は国の社会的な安定や市民の生活保障を目的として設立されていますが、制度の持続可能性や適切な資金供給の問題が現在も議論の的となっています。
フランスと日本の年金制度の違い
フランスと日本の年金制度は、以下のような違いを持っています。
加入期間と受給額
フランス | フランスの年金制度では、満額の年金を受け取るためには約43年の加入が必要です。その年金の計算は、最も高い25年間の賃金の50%として行われます。 |
日本 | 日本の国民年金制度では、満額の基礎年金を受け取るためには40年の加入が必要です。しかし、日本の年金は複雑な制度を持っており、基礎年金以外に厚生年金や職業共済なども存在し、受給額はそれぞれの制度と加入期間に応じて変わります。 |
年金財源資金源
フランス | フランスの年金は主に雇用者と雇用主からの拠出によって賄われています。雇用主の拠出額の方が大きいことが特徴です。 |
日本 | 日本の年金制度も雇用者と雇用主の拠出によるものですが、非雇用者も国民年金に加入する義務があります。雇用主と雇用者は同額の拠出を行います。 |
受給開始年齢
フランス | 一般的には62歳からが基準ですが、特定の職種や条件によってはそれよりも早く受給開始が可能です。 |
日本 | 2023年時点での受給開始の基準年齢は65歳です。ただし、特定の年齢層や条件に応じて、早期(繰り上げ)または遅延(繰り下げ)受給が選択可能です。 |
システムの複雑さ
フランス | フランスの年金制度は、多様な職業別の特別制度が存在するため、複雑です。 |
日本 | 日本も多様な年金制度を持っており、国民年金、厚生年金、職業共済など、複数の制度が存在します。 |
以上の違いを考慮すると、どちらの国の制度も独自の特徴と課題を持っており、国の社会保障政策や経済状況に応じて調整されています。