専業主婦と会社員とでは将来受け取れる年金額が違いますが、実際どれくらい差があるかはあまり知られていません。
本記事では専業主婦が老後にいくら受け取れ、会社員とどれくらい違うのかを解説しています。
この記事の目次
専業主婦が受け取れる年金とは?
日本は「国民皆年金」であり、20〜60歳の人は、公的年金保険料に加入する必要があります。
もちろん、専業主婦も例外ではありません。
公的年金保険料を納めた恩恵のひとつとして、一定の要件を満たした専業主婦は65歳から年金が受け取れます。
本章では、専業主婦と会社員として働いている妻の違いについて解説しています。
専業主婦が受け取れる老齢基礎年金とは
老齢基礎年金とは、納めた保険料の期間が原則10年以上(120カ月)ある場合に受け取ることができる公的年金です。
専業主婦は国民年金保険料に加入しているため、受給できる年金は「老齢基礎年金」になります。
一方、共働き世帯の人は、厚生年金に加入しているため、老齢基礎年金+老齢厚生年金が受給できます。
現在、専業主婦であったとしても、専業主婦になる前に会社員として厚生年金を支払っている場合は、老齢厚生年金の受給要件を満たしていることもありますので必ず確認しましょう。
専業主婦と会社員との受け取れる年金の違い
専業主婦と共働き世帯の受給できる年金にどれくらい差が生じるのでしょうか。
それぞれ計算条件のシミュレーションをしてみましょう。
専業主婦 | 共働き世帯の妻 |
・年齢 35歳 ・会社員として20歳から5年間働いていた ・26歳から59歳までパート(国民年金第3号) ・国民年金の加入期間40年 ・厚生年金の加入期間5年 ・会社員 在職中の平均年収500万円 ・パート 在職中の平均年収100万円 |
・年齢 35歳 ・20歳から現在まで在職 ・国民年金の加入期間40年 ・厚生年金の加入期間40年 ・在職中の平均年収500万円 |
専業主婦と会社員との年金の差は以下のとおりです。
専業主婦 | 共働き世帯の妻 | |
年金合計 | 95万円(月額7.9万円) | 183万円(月額15.25万円) |
専業主婦と共働き世帯の妻では、65歳から受け取れる年金額に約2倍の差が生じる結果となりました。
専業主婦はもらえる年金が少ない
シミュレーションのとおり、専業主婦と共働きの妻とでは将来受け取れる年金が大きく変わります。
加えて、配偶者が国民年金保険料のみ支払っている場合と配偶者が厚生年金を支払っている場合にも将来受け取る年金に差が生じます。
そもそもなぜ将来受け取れる年金額に差が生じるかについて解説していきます。
配偶者が国民年金保険料のみ支払っている場合
配偶者が自営業などの個人事業主を営んでいる場合は、国民年金保険料のみ支払っているケースがほとんどです。
その場合、夫婦ともに国民年金保険料を支払うことになるため、受け取る年金も老齢基礎年金のみとなるのです。
よって、シミュレーションのように、国民厚生年金保険料を支払っている世帯よりも年金の受給額が少なくなります。
個人事業主として所得が高くても、受給できる年金が高いとは限らないという点も覚えておきましょう。
配偶者が厚生年金保険料も支払っている場合
配偶者(夫)が会社員であり厚生年金加入者の場合は、年収130万円未満の配偶者(妻)も厚生年金の扶養に入ることができます。
厚生年金の扶養になることで、配偶者(妻)は国民年金の第3号被保険者となります。
第3号被保険者は、保険料を負担する必要がありません。
ただし、年収が130万円以上になった際には、扶養から外れて保険料を負担しなければいけない点には注意が必要です。
また、会社の規模によっては、年収が約106万円(月額88,000円)以上で社会保険への加入義務が生じる場合がある点も覚えておきましょう。