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MS法人を活用した場合の効果とは?

MS法人とは、メディカル・サービス法人のことをいい、主に医療法人における医療行為以外の一般事業を目的として設立される。今回は、節税や資金調達においても効果があるMS法人の活用について紹介したい。

■MS法人とは

MS法人とは、メディカル・サービス法人のことをいい、主に医療法人における医療行為以外の一般事業を目的として設立される。このようなMS法人の設立には、いくつかの目的があり、主に以下のふたつの理由があげられる。

1.専門分野(医療事業)と一般分野(事務など)の分離
2.医療法人が営むことのできない事業

医療法人は医療法第39条が定めるとおり、「病院、医師若しくは歯科医師が常時勤務する診療所又は介護老人保健施設」の開設を目的として設立される法人である。そのため、このような本来業務と付帯業務(医療法第42条)、付随業務について以外は、認められていない。株式会社などとは異なり、どのような事業でも行えるわけではないのだ。

しかし、病院が大きくなったりして、ほかの事業も一緒に行いたいというケースは多い。ここで役立つのがMS法人である。不動産賃貸など、医療法人が営むことのできない営利事業を、MS法人が担うというわけである。

■MS法人の事業内容とその効果

上記のような目的によりMS法人を設立することにより、当初の目的を達成するとともに節税効果を得られる場合がある。たとえば、医療行為以外の売店収入などをMS法人に移転することにより、軽減税率を活用することができる。また、事務関係業務を医療法人からMS法人に対して委託することにより医療法人に蓄積する利益の分散にも繋がり、将来的な医療法人の出資持分の承継対策になる。さらに、このようにしてMS法人に収益を分散することで、医療法人では禁止されている配当を活用することも可能となる。

また、MS法人の活用は節税効果のみならず、資金調達においても効果的である。医療法人は株式や社債の発行ができず、先ほど述べたとおり不動産投資ができないために医業経営に不要な不動産は所有していないことが多い。担保資産を有していないことから金融機関からの融資も受けにくいため、資金調達が株式会社に比べ容易ではない。
しかし、MS法人では株式や社債の発行、不動産を担保とした融資を受けることも可能であり資金調達が容易にできる。このようにしてMS法人で調達した資金を医療法人に貸付けることにより、医療法人においても資金調達が可能となる。
ただし、MS法人は利益追求を目的とする株式会社であるため当該金銭貸借においては必ず利息の授受を行う必要があるため留意が必要である。

[MS法人の事業例]
・診療報酬請求事務
・窓口会計事務
・清掃、衛生業務
・設備管理保守
・医薬品、医療器具の仕入れ

■メリットだけとは限らない!

MS法人を活用する場合、最も注意すべき点は消費税である。医療法人の売上構成は主に診療報酬であるため、消費税の免税事業者に該当していることが多い。しかしMS法人との間における委託報酬については課税対象となるため、年間の委託報酬金額が1千万円を超える場合にはMS法人は課税事業者となってしまう。そのため、医療法人のみであれば消費税の納税は生じていなかったにもかかわらず、MS法人との委託契約を締結したことにより消費税の納税が生じてしまう可能性があるのである。

それならば1千万円以下に抑えるように金額を調整すれば良いという考えに至るかもしれない。しかし、そのような恣意性の介入した取引は認められないため、第三者取引における相場と同等にしなければならないのである。

その他の注意すべき点の代表例は、医療法人とMS法人は利益相反関係にあることから、医療法人の理事長とMS法人の代表取締役を兼務することは避けるべきということである。
MS法人の設立目的は冒頭にも述べたとおりであり、租税回避行為として利用してはならないので留意していただきたい。

著者: KaikeiZine編集部

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