確定申告書の作成を税理士に依頼せず、自ら作成している場合、知らないがゆえに損な申告書を作っているケースがあります。そこで今回は、損をしないために気をつけておきたい項目を紹介します。
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■青色専従者給与、白色事業専従者の給与について
個人事業の場合、「生計を一」にする親族への給与は、原則として経費となりません。ただし、青色申告書の個人事業者であれば、「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出することで、その届出書に記載した金額の範囲内であれば事業経費とすることができます。
白色申告においても事業専従者控除という制度がありますが、金額が制限されており、その金額も少額です。ここは青色申告者となって配偶者等に専従者給与を支給し節税を図りましょう。
日本の所得税は累進課税方式なので、所得はできるだけ多くの人数で分散するほうがトータルの税金が少なくなります。青色専従者給与を使っていない方は、ぜひこの機会に届け出てほしいです。
また、専従者以外の親族であっても、生計を一にしない親族に対する給与であり、常識的な判断で妥当な金額のものであれば経費とすることができます。
■消費税の簡易課税制度の選択はできない?
2年前の売り上げ(正しくは「課税売上高」といい、消費税の対象となる売上高の年間合計をいう)が1千万円を超える場合には、その年については消費税の申告・納付の義務が生じます。
消費税の納税額の計算方法は、原則的には売り上げ時に「預かった消費税」から仕入や経費に含まれる「支払った消費税」をマイナスして計算します。ただし事務的にも煩雑であり誤りが生じやすいため、2年前の売り上げが5千万円以下であれば、簡便法として「簡易課税制度」という制度が用意されています。
簡易課税制度は「支払った消費税」を業種によって自動的に計算しようというのがその特徴です。たとえば卸売業であれば「預かった消費税」の90%を「支払った消費税」とみなします。以下、小売業であれば80%、製造業70%、飲食業60%、サービス業50%、不動産賃貸業40%となります。
税込み売り上げ2160万円の卸売業者が簡易課税制度により納付する税額は160万円-160万円×90%=16万円です。簡単に計算したにもかかわらず、原則的に計算、いわゆる「本則課税」した金額より安くなるケースがよくあります。
売り上げが5千万円以下にもかかわらず、本則課税で計算しているのであれば、一度この簡易課税方式で計算し、不利な申告をしていないかチェックしてみましょう。
■経費にできる税金を経費にしていますか?
所得税や住民税など、所得を対象とする税金は経費となりません。これを経費にしてしまうと所得の高い人ほど経費が自動的に増えてしまうためです。ただし、以下の税金は経費となることをご存じでしょうか。いま一度、経費の計上もれがないか確認してみましょう。
・固定資産税・・・事業用の土地や建物を持っていれば毎年課される税金
・不動産取得税・・・事業用の土地や建物を購入した場合に課される税金
(購入後、忘れた頃に納付書が来るので計上がもれやすい)
・個人事業税・・・一定以上の所得がある事業者に課される税金。
(所得を対象とする税金であるが、事業税は経費となる)
・消費税・・・・税込みで決算書を作成する場合、納付する消費税は必ず経費に計上しましょう。
■おわりに
誤って損な申告書を作成し、本来より多く納税していたとしても、税務署から連絡が来ることはあまりありません。自分で申告する際は、より入念に確認し、正しく納税しましょう。