定着率を劇的に変える「3・7・30日の壁」対策

中途採用者、とくに経験者の離職は「最初の1ヶ月」に集中すると言われています。
これは単なる偶然ではなく、人が新しい組織に適応するうえで必ず通過する壁が存在するからです。
採用の現場では、この「3・7・30日の壁」を理解しているかどうかで、定着率が大きく変わります。

3・7・30日の壁

3日:第一印象がすべてを決める

入社からの最初の3日間は、新メンバーが組織を評価するもっとも重要な期間です。
リアリティ・ショックもこの期間に起きることが多くあります。

起きがちな失敗
・PC・デスク・アカウントの未準備
・あいさつだけで放置される
・その日にやることの説明がない

 

対策
・必要な声かけは積極的に!心理的安全性を高める
・受け入れ準備は万全に!スケジュールに予定を入れておくのも忘れずに

心理的安全性を高めるというとハードルが高そうですが、難しいことではありません。
事務所の既存社員がそれぞれ個別にあいさつや自己紹介をするなど、まずは全員が自己開示の意識を持って接することが大事です。

7日(入社1週間):業務より人間関係の不安がピークに

1週間たつと、業務の理解よりも「この組織でやっていけるか?」という心理的不安が強くなり始めます。

起きがちな悩み
・まだメンバーの誰にも本音を話せない
・誰に相談すればいいか分からず、仕事の不明部分が溜まる
・上司の指示の意図が読み取れずストレスに

この段階でフォローがないと、前職のほうがよかったかもしれないという比較が始まります。

対策
・エルダー制度などを設け、誰がサポート役なのかを明確にする
・エルダーが1on1を実施

エルダー制度はOJTのひとつで、先輩社員(エルダー)が教育係となり、日常業務や職場でのルールの指導、メンタル面のサポートを行います。
誰に聞けばいいかがわかるだけでも心強く、悩みが生じて相談することができます。
1on1では、日々のなかで不安や困っていることがないか確認しましょう。

30日(入社1ヶ月):期待値のズレが表面化する

1ヶ月がたつと、新メンバー本人も事務所(所長や既存社員)もそれぞれに期待が生まれ始めます。

起きがちな行き違い
・事務所側「経験者だから、もうできるよね?」
・本人側「やっと業務の流れが分かってきた段階だな」

このギャップはとても大きなものです。
会計事務所では月次の決算がひとつの単位になることが多く、1ケ月というのはようやくひとまわりしたくらいの段階です。
この段階で「もうできるよね?」と放置されると、自分は求められているほど活躍できていないという自己否定につながり、離職の検討が強まってしまいます。

対策
・カリキュラムや業務一覧の表を作成
・1ケ月の振り返り面談を実施し、フィードバックを行う

振り返り面談では、カリキュラムや業務一覧の表に従ってフィードバックを行いましょう。
フィードバックの内容は「期待していること」「できていること」「改善できればさらによくなること」「最近困っていること」「不安や悩みはないか」などを確認し合いましょう。

3・7・30日の壁を超えられるかどうかが定着を決める

3・7・30日の壁は、能力ではなく環境適応のプロセスです。
新メンバーが新しい職場に適応できることを意識してフォローするだけで、定着率は劇的に改善します。
経験者として入社した新メンバーは、業務については実力があるはずです。その実力を発揮するために、適応するためのステップを着実に踏めるようにしていくことが大事です。

離職防止支援の利用・紹介会社との連携

多くの会計事務所が採用成功と感じるのは、内定承諾や入社のタイミングです。
しかし本当のスタートは入社後に訪れます。
新メンバー、とくに経験者の定着には、事務所内だけでフォローするのは限界があるという現実があります。
補完する存在として、外部のキャリア支援サービスや採用時の人材エージェントを活用するというアプローチがあります。

外部の離職防止支援を使う

離職防止支援は、辞めてしまいそうな社員へのピンポイント対応ではありません。

・社員の不安や不満、つまずき、要望を把握する
・制度やルールを分析し、不備や不足がないか評価する
・改善ポイントを提案し、実施する

このように、組織全体に関わる支援です。
離職を防止し、定着率をアップするので、新メンバーだけでなく既存社員にとってもメリットがあり、結果として組織の成長サイクルをつくる基盤となります。

いつ支援を導入する?

離職防止支援は、新しいメンバーが入社するタイミングでは間に合いません。
組織そのものを見直すこととなるので、早めに検討しましょう。

・人を増やして成長をめざすとき
・離職者が増えてきたとき
・評価・教育サイクルが効果を発揮していないとき

KaikeiZineを運営するレックスアドバイザーズにはキャリアデザイン事業部があり、国家資格キャリアコンサルタントが伴走して支援します。
早期離職を減らし、組織の成長サイクルをつくりたいときにお声がけください。

国家資格キャリアコンサルタント吉村明徳への相談はこちら

採用時の人材エージェントと連携する

新メンバーの採用に人材エージェント(有料職業紹介事業者)を利用した場合、入社後に連携することもできます。
人材エージェント側も、新メンバーに対して「新しい職場はどうですか」と声をかけていることがほとんどです。
入社後しばらくたち、何か心配がある場合はエージェントに状況を確認するのもひとつの方法です。
ちょっとした行き違い程度であれば解決できるケースもあります。

採用の成功は「入社した日」ではなく「活躍し続けている姿」で決まる

採用競争が激しくなり、求人広告や人材紹介料など、採用にかかる経費が上がっています。
せっかく採用した即戦力の新メンバーがすぐに離職してしまっては、経費も無駄になってしまいます。
新メンバーの早期の離脱は、組織改善が必要だというサインかもしれません。

・受け入れの仕組みを整える
・不安を拾う対話を行う
・外部の専門家と連携する
・人が育つサイクルを組織に根付かせる

このような取り組みを行う事務所では、新メンバーはもちろん既存社員の定着率もアップし、人が増え、売上も伸びる好循環が生まれています。
優秀な新メンバー、長年活躍している社員が本来の力を発揮できる環境を、事務所がつくる番です。

レックスキャリアデザイン事業部長の吉村明徳記事監修:吉村明徳
保有資格:キャリアコンサルタント

岡山県岡山市出身。
大学卒業後新卒にて地元信用金庫に就職、法人融資営業として5年間勤務。
融資推進や法人の融資計画立案、事業計画、再生計画の立案に従事(実績:個人業績表彰を受賞)。
金融機関での営業経験を基にベンチャー企業に転職後、創業支援や企業向け研修サービス事業を中心とした新規事業の立ち上げを行う。
自身でも執行役員兼事業部統括責任者として社内の新卒および中途採用などの採用業務や入社後の社員教育に従事。
その後2020年に県内企業30社に人事・労務コンサルティングサービスを提供する株式会社おかやまキャリアデザイン(住所:倉敷市)を創業(実績:令和4年度倉敷市委託事業「伴走型キャリア形成支援事業」受託)。2024年、株式会社レックスアドバイザーズに事業譲渡にて参画。
レックスキャリアデザイン

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