深刻化する人材不足の中、会計事務所が採用と定着に成功するための戦略とは。KaikeiZineを運営するレックスアドバイザーズ代表の岡村がMMPGの講演で語った、課題分析や実践的なアドバイスを掲載します。事務所の採用課題の解決にぜひお役立てください。
この記事の目次
深刻化の一途をたどる人材不足は、会計事務所業界でも大きな課題となっています。
特に人材を採用して、いかに定着させるかは、事務所の成長戦略においても欠かせない要素です。
2025年4月17日、KaikeiZineを運営する株式会社レックスアドバイザーズの代表取締役・岡村康男が、全国100を超える医療・福祉・介護分野に強い税理士・公認会計
講演のテーマは、「採用戦国時代を勝ち抜く!会計事務所の効果的な人材戦略 戦略と考え方で決まる”採用と定着”」。
1時間の中で、レックスアドバイザーズが会計事務所の正社員採用、パートアルバイト採用を支援する中で培ってきた知見をもとに、MMPGの会員のみなさまに実情や実践的なアドバイスをお伝えしました。
本記事では、MMPGのご厚意により講演内容を公開いたします。
事務所の採用と定着の課題解決につながるヒントをぜひ見つけてください。
MMPG第178回全体会 特別企画 講演レポート

はじめに
株式会社レックスアドバイザーズで代表をしております、岡村と申します。 本日はMMPGの全体会での登壇機会をいただきまして、大変感謝しています。
本日のテーマとしては、会計事務所業界の人材課題についてお話しさせていただき、また採用環境、みなさまがご関心があるだろうと思われる採用の定着について、私どもの視点からポイントを挙げさせていただきます。
働く人の現状
日本は2008年をピークに人口減少が続いており、15歳から64歳の生産年齢人口も減少傾向にあります。この状況下で、経済の維持や発展は日本にとっての大きな課題です。少子高齢化社会に向かうなかで、みなさまの業界でも医療問題やシニア人材の活用といった課題が浮き彫りになっているかと思います。
生産年齢人口はこの30年で2割減少し、今後30年でさらに3割減ると予想されています。しかし、工夫次第でこの流れを乗り越えることは可能だと思います。共働き世帯増加の影響をはじめとした女性の労働参加、定年後も働くシニア層の活躍によって、2000年以降も就業者数はなんとか維持されてきました。
大手人材サイトによると、転職理由は給料、人間関係、職場の雰囲気、労働時間、会社の将来性、昇進・キャリアアップの機会の有無などが挙げられており、傾向は従来と変わりません。しかし、転職がオープンに行われるようになり、以前と比べて転職しやすい状況が定着しているのは大きな変化です。
会計事務所業界の課題
会計事務所業界でも「採用」は大きな課題です。定着率の低さや高齢化、世間からの変わらない職業イメージも、業界全体の課題といえるでしょう。
近年はDX推進やリモートワーク、事務所の規模拡大が進み、一般企業のような経営スタイルを取り入れる事務所も増加しています。しかし、依然として「定型業務」と「難易度の高い税務業務」の職業イメージで、ハードルが高いと感じるかたも多いのではないでしょうか。そのため、会計事務所を就職先として考える層が増えていないのが実情です。
採用競争は会計事務所同士にとどまらず、コンサル会社や一般企業との競合も激化しています。
人事課題は「採用」「育成・定着」「組織運営」の3つに分類できます。「採用」に関しては、即戦力の経験者が欲しいというニーズも高いので、経験者の獲得競争や、求人内容の差別化の難しさも指摘されています。入所後の「育成・定着」についても、OJTだけでは将来像が描きにくく、不安を持つ人も少なくない状況です。人の育成にはマネジメント層の存在が重要ですが、マネジメント層の負担が増えていることも推察されます。また、規模拡大に伴う権限分散や創業者の理念が浸透しにくいジレンマも、「組織運営」上の課題といえます。
1. 採用環境の現状
会計業界に限らず、現在の採用環境は超売り手市場となっていて、求める人材像も各社似通いがちです。
税理士業界では税理士試験の合格者数が減少し、若手の5科目合格者など即戦力となる人材が希少化し、経験者採用の競争が一層激しくなっています。
働き方改革やワークライフバランスへの意識は高まっており、働き手側も自社が時代の流れから取り残されていないかを注視しています。共働き世帯では、勤務時間や家事・育児の分担にも柔軟性が求められ、単に給与だけではなく「それぞれの家庭に合った働き方」を重視する傾向が強まっています。
2. 規模別にみる採用と定着の課題と対策
事務所の規模や業歴によって、直面する課題や必要な対策は異なります。ここでは最大公約数的に、規模別に課題と主な解決策を整理します。
10人規模までの事務所では、代表の活動力や営業力が採用に直結します。代表の人脈をもとにメンバーが集まるケースが多く、採用活動ではスピード感と差別化、自社ブランディングが重要になります。
30人規模の事務所では、代表がワントップ経営を続けることが難しくなるケースも出てきて、幹部育成や評価制度、キャリアパスの整備が課題となります。
100人規模になると、部門制への移行や人事部門の整備が必要です。採用プロセスを標準化し、社員が採用活動に積極的に関与して、採用の最終判断を代表が行う体制が理想的です。経営者も現場から離れ、リーダーや組織設計者への役割転換が求められます。
300人を超える規模では、複数拠点への展開や他事業への参入が進み、人事評価や制度にもさらなる精度が求められます。
各成長段階に応じ、最適な採用・定着の施策を検討することが不可欠なのです。



