3. 採用成功の3つのポイント

採用を成功させるためには、以下の3点が重要です。

①採用戦略の明確化

どのような人材をいつまでに、どのポジションで採用するか、目標と要件を具体化する必要があります。採用チャネルも多様化しているため、ポジション・雇用形態・スキル層ごとに最適な選択が求められます。自社に合った人材モデル=ペルソナを明確に描くことが重要です。

②採用コストと投資判断

売上・利益・人件費計画などを踏まえ、年間離職率を加味した採用計画を立案します。離職率を上回る成長を目指す場合には、それに見合った採用コストの確保が不可欠です。

③面接・選考の質向上

面接官の力量は極めて重要です。求職者との最初の接点で企業イメージが決まるため、組織・カルチャーをしっかり説明できる人材を面接官に起用することが望まれます。近年は「候補者体験(キャンディデイト・エクスペリエンス)」向上が重要となっており、「企業が選ぶ」だけでなく「求職者からも選ばれる」視点が欠かせません。

採用チャネルの比較

採用活動では、人材紹介会社、求人広告、ダイレクトリクルーティング、リファラル(紹介採用)やアルムナイ(出戻り採用)などさまざまなチャネルが活用されています。それぞれ、コスト・スピード・精度・応募数・成功のカギに違いがあります。

リファラルはコストが低く、以前の同僚や友人のつてなどを通じた採用は精度が高い一方で、どうしても応募数は限られます。アルムナイも珍しくなくなりましたし、かつては一度辞めた職員とは縁を切るという考え方の先生もいたと思います。しかし最近では、独立後も事務所とのネットワークを維持し、協力関係を築くケースも増えています。
なお、年間で複数名の採用が必要な場合は、人材紹介会社や求人広告の利用が主流となります。求人広告は未経験者の採用が中心となり、短期間で多数の応募を集める際は自社の採用ブランド力が必要不可欠です。

それぞれメリットと課題があるため、自社の状況に合わせた最適なチャネル選択が重要になってきます。

人材紹介業界の現状

転職市場の活性化に伴い、人材紹介事業者も増加傾向にあります。全国には約2万9000の有料職業紹介事業者が存在しますが、年間で何百人という規模の人材紹介が可能な事業者はごくわずかです。

また、コンプライアンス遵守(じゅんしゅ)が不十分な事業者も散見されるため、個人情報の取り扱いや管理体制を確認し、信頼できる会社を選ぶことも重要です。新興の事業者では求職者獲得に苦戦し、いわゆるヘッドハンティングと称して実質的な引き抜きを行う例もあり、やはり法令遵守・情報管理の面での見極めが必要となります。

採用を「投資」と捉える

採用には直接的なコストだけでなく、人件費やインフラ費用、パソコン費用などさまざまな経費がかかります。仮に1人の採用に1,000万円の投資が必要でも、何年で費用を回収できるかという「ROI(投資対効果)」の視点が求められます。

4. 定着率を高めるには

近年は「採用後の定着率」が大きな課題となっています。リテンション(人材の確保)を高めるためには、採用段階から「入社前に聞いていた話と違った…」とならないよう意識する必要があります。事務所の良い点だけを強調して伝えるのではなく、現状の課題や改善点も含めた誠実な情報提供が重要です。

オファー面談や条件提示もあいまいな部分を残さず、給与や労働条件などで入所前後の相違が生じないよう十分な確認を行うことが、結果的に定着率向上につながります。

余談ですが、最近は退職代行サービスを利用する人も増えています。退職代行会社の社員が、別の退職代行を使って辞めたという話を聞くほど、世の中は変わってきています。

相談しにくい職場環境が早期離職の要因になる場合もあるため、OJTだけでなく、入社時点から複数の相談相手やメンターを用意したオンボーディング体制の整備も必要です。直属の上司や先輩に限らず、年齢や入社時期が近い社員、あるいは専門の育成部門がフォローできる体制が有効です。

当社でも、コロナ禍でのリモートワークによるコミュニケーション不足から、恥ずかしながら離職率が20%近くになったことがありました。リアル・オンライン双方で人間関係をいかに強固にするかが重要です。当社も去年は離職率が2.5%まで改善しましたので、オンボーディングの成果が出てきたかなと思っています。

また当社では、人事採用専門の「人材開発室」を設置し、現場とは異なる観点からのフォロー体制を構築したことで、特に若手社員の離職率が低下しています。

人が辞めない事務所の共通点

離職率の低い事務所には共通点があります。報酬だけでなく「やりがい」と「成長の機会」をしっかり設計している点、リーダー層の育成と定着が組織の安定につながっている点です。
とくに若手社員は、リーダー層の安定を通じて組織を信頼します。また、彼らは明確なフィードバックを求めており、行動や成果に対して納得できる評価を受けたいと考えています。従って、単なる指摘ではなく、良い点を認め、成長ポイントを具体的に示すフィードバックが求められます。

社員が自信を持ち、自律的に成長できる環境を設けるとともに、ある程度の指針やガイドラインを示す必要もあるでしょう。部下を主役にするマネジメントが、いま求められています。

5. 採用の成功と失敗

採用活動の成否を振り返り、自社が「本当に必要とする人材」と「実際に活躍している人材」にズレがないか確認することも大切です。

また、経営方針が現場の社員にしっかり伝わっており、組織全体で人材採用について共通認識が持てているかどうかも重要なポイントです。

登録人材の年齢層の推移

当社のデータによると、2021年から2023年にかけては登録者の40%が30代、20代は16%でした。2024年から現在までは20代が24%に増加し、未経験者層の登録が増えています。簿記は取得しているが会計業界未経験、キャリアチェンジを希望する30歳前後も増加傾向にあります。

採用成功事例

50代人材の採用を積極的に行う事務所も多く、1学年約200万人いる団塊ジュニア世代が50代となったいま、経験や柔軟性を備えた人材が豊富に存在します。こうした経験者と若手未経験者を組み合わせることで、双方の強みを生かした育成体制を構築できます。

また、共働き世帯の増加に伴い、たとえば週3日短時間勤務希望の女性などの多様な働き方を求める層が増え、優秀な人材が存在します。若手未経験者や50代経験者、リモートワークを希望する人材などの多様な層を組み合わせることで、経験者・資格者のフォロー体制を強化できます。

まとめ

採用と定着に関しては、「戦略」と「仕組化」がすべてといっても過言ではありません。
採用と定着は極めて重要な経営課題であり、実現のためには社内の体制づくりが欠かせません。長期で働いてもらうためには、人事評価制度の見直し、社員の定着を高める体制と環境が求められます。

今後もレックスアドバイザーズは、会計業界やMMPGの発展に貢献していく所存です。
本日はご清聴ありがとうございました。

 

MMPG(メディカル・マネジメント・プランニング・グループ)

●設立
1985年4月
●所在地
〒140-0001
東京都品川区北品川4-7-35 御殿山トラストタワー4階
●入会はこちら
https://www.mmpg.gr.jp/admission

 

レックスアドバイザーズ代表岡村康男

岡村康男
1984年青山学院大学法学部卒業。上場食品メーカー、外資生命保険会社を経て、2002年株式会社レックスアドバイザーズ設立、代表取締役就任。会計士・税理士を中心とした独自の会計人ネットワークを築き、企業の成長支援事業を展開。

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