転職直後、「必要とされていない気がする」「研修が整っていない」「条件が違う気がする」と感じたことはありませんか?こうした気持ちの揺れは、決してあなただけではありません。
税理士法人(会計事務所)などの専門ファームでも、税理士や公認会計士の資格を持っている方にも起こることです。
そんなモヤモヤにどう向き合えばいいのか?
国家資格キャリアコンサルタントの鈴木康泰氏に、向き合い方・考え方を聞きました。

この記事の目次

キャリアコンサルタント鈴木康泰の画像

鈴木康泰

保有資格:キャリアコンサルタント(国家資格)
人材紹介・人材派遣業界でキャリアを積み、株式会社レックスアドバイザーズへ入社。公認会計士や税理士など会計人の転職支援で多数の実績を持つ。現在は人材開発室にて社内の研修・教育指導を担当しながら、現場でのキャリアカウンセリング・転職サポートも継続して行っている。

モヤモヤ①「私、必要とされていない?」

はりきって入社したけれど、周囲がとにかく忙しそう。
研修担当者に質問したところ、「すこし待ってもらえますか」と言われてしまった。すこしでも手伝おうとしたけれど、前の事務所とはやり方が違うので手を出せない。
やったことのある業務にも加われず、待つばかり。

「私、必要とされていない?」と思ったことはありませんか。

新しい職場に入った直後は、こうした孤立感を覚える人が少なくありません。
この感覚は、あなたの能力や人間関係ではなく、もっと別の要因で起きていることが多くあります。

キャリアコンサルタント・鈴木康泰の視点

「必要とされていないのでは?」という不安は、若手でもベテランでも、多くの新人が感じるものです。
相手が忙しそうに見えるのは、あなたを拒否しているサインではなく、単純にタスクに追われているだけというケースがほとんど。
入社直後は、周囲もあなたのフォローをしつつ自分の業務を回しているため、どうしても余裕がなくなりやすいのです。

アドバイス①「タイミングの問題」と捉える

新しい職場では、話しかけづらさがどうしても存在します。関係性の問題ではなく、タイミングの問題 と捉えることがとても重要です。

必要以上に「嫌われているのかも」と解釈しないでください。
忙しそうに見えるのは、あなたを拒否しているのではなく、ただ余裕がないだけです。

アドバイス② 忙しいときこそ「声をかける前提」で動く

仕事はコミュニケーションが前提です。
「忙しそうだから聞かない」という行動は、むしろリスクになります。自己判断で進めてしまうと、ミスにつながり、結果的に周囲の負担を増やしてしまうこともあります。

  • 短く、要点を絞って聞く
  • 緊急度を確認してから声をかける
  • 結論から伝える

この3つを意識するだけで、相手の負担を減らしつつ、必要なコミュニケーションが取れるようになりますよ!

あなたが感じている「必要とされていないのでは?」という不安は、たまたま忙しい時期に入社しただけかもしれません。
会計事務所は時期によって忙しさが大きく変動します。
新しいメンバーにはどうしても業務を振りにくく、一時的に周囲のタスクが多くなり、余裕を持てないこともあります。
あなたが必要とされていないのではありません。

声をかけることは継続しながら、1〜2週間ほど様子を見てみましょう。
仕事が振られ始めるタイミングは事務所ごとに違いますし、「今はそういう時期なんだ」と捉えるだけで、気持ちが少し軽くなるはずです。

モヤモヤ②「研修体制が整っていない!」

BIG4や準大手の事務所から転職してきて、マニュアルがまったくないことに驚いた。
面接では「研修があります」と聞いていたのに、研修はもちろん、教育担当者の名前すら共有されていない。
業務が属人的になっていて、誰に何を聞けばいいのかもわからない。

「研修体制が整っていない…どうやって業務に慣れればいいのか」
そんな不安を抱えたことはありませんか。

研修が体系化されていない事務所は珍しくありません。
とくに中小規模の会計事務所では、新人が戸惑いを感じやすいポイントのひとつです。

キャリアコンサルタント・鈴木康泰の視点

中小規模の会計事務所では、研修体制が十分に整っていないことは現実的によくあります。
こうした環境で成長スピードに差が出るポイントは、受け身になるかどうかです。

アドバイス:「教えてもらう前提」を捨てて、「取りに行く前提」に切り替えよう

研修がなく困っているということは、きっと業務を振られていることでしょう。
業務について質問をする際、

  • 業務の目的を考える
  • 過去に同じような業務や事例がないか確認する
  • 自分なりのやり方で整理してみる

ここまで進めたうえで質問すると、相手の回答も具体的になり、理解が深まります。
ひとつの業務、ひとつの質問でたくさんのものを得ていきましょう。

※ただし、事務所によっては「まず聞いてほしい」という方針のところもあります。
業務の進め方については、事前に確認しておくことが大切です。選考の段階で確認できる場合もありますので、人材エージェントに聞く、面接で質問するなどしておきましょう。

中小規模の会計事務所では、研修が体系化されていないケースはよくあります。
先輩も教わらずに育った経験があるため、業務が属人的になり、誰が何を教えるべきかが曖昧になりやすいのです。

こうした環境で大切なのは、「教えてもらう前提」ではなく、「取りに行く前提」に切り替えること。
研修体制が整っていない環境は、あなたの成長を妨げるものではなく、工夫次第で十分に乗り越えられるギャップ だと捉えてみてください。