確定申告期真っ只中ですね。サラリーマンは基本的に年末調整で済みますが、なんらかの事情があって年末調整を受けていなくても、確定申告によって税額が精算されます。2020年(令和2年)の確定申告期間は、4月16日(木)まで。この期間内に、2019年(令和元年)分の会計結果を税務署へ報告(確定申告)します。第3回の今回は、扶養控除(特定扶養親族)について解説します。

3、扶養控除 (特定扶養親族)

Q:大学生の息子にはアルバイトの所得がありますが、年末調整では控除対象扶養親族にしています。このままほっておいて大丈夫でしょうか? 勤労学生控除と聞きますが、息子の所得が多い場合は関係してくるのでしょうか?

→基本的には、19歳以上23歳未満の扶養家族は「特定扶養親族」として控除が認められています。この特定扶養親族は、その年の12月31日時点での子供の年齢で判断されますが、息子さんのバイトの給与年収が103万円を超えた段階で適用されなくなるので、教育費がピークの時期に家計には厳しいですよね。「103万円の壁」といわれますが、所得額から誰もが差し引くことができる「基礎控除」の38万円と、給与をもらっている人が収入から一定額差し引かれる「給与所得控除」の最低金額65万円を足した金額のことです。

1年間の所得が103万円以下であれば課税所得は0円なので所得税はかかりませんが、103万円を超えると、超えた分に所得税がかかります。

103万円を超えた場合、息子さんが働いている勤務先は予め給料から所得税を差し引いて支給します。これが「源泉徴収」です。勤務先が日本国内に本店または主たる事務所を持つ法人なら、およそ月の収入が8万8千円以上、もしくは日給で2900円を超える場合に源泉徴収が行われます。

バイトを2つ以上掛け持ちしている場合なら、すべてのバイトの給与を合算した年収が103万円を超えていると所得税がかかります。

年収が103万円以下であれば所得税らないのですが、地方税は別の壁があります。それは100万円です。地方税の場合は、年収100万円を超えると住民税がかかります。所得税に38万円の基礎控除があったように、住民税には35万円の「非課税控除額」があります。バイト収入では、非課税控除額35万円に給与所得控除65万円を足した100万円を超える年収があると住民税がかかります(自治体によっては93万円からかかる地域もあり)。

 

「勤労学生控除」

働いている学生は103万円の控除の他にも「勤労学生控除」を受けることができます。勤労学生控除の控除額は27万円で、基礎控除・給与所得控除の103万円と足して年収130万円までは所得税がかからなくなります。

勤労学生の条件として

(1)学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校など。

(2)国、地方公共団体、私立学校法の第3条に規定する学校法人、同法第64条第4項に規定する法人、これらに準ずる一定の者により設置された専修学校又は各種学校のうち一定の課程(注2)を履修させるもの

(3)職業能力開発促進法の規定による認定職業訓練を行う職業訓練法人で一定の課程を履修させるもの

であって、「合計所得金額が65万円以下」「勤労所得が学生である納税者本人の勤労による所得であること」。しかも「納税者本人の勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること」などの条件を満たす必要がある。

勤労学生控除が適用されると、103万円の壁に27万円控除が受けられることになります。つまり、38万円の「基礎控除」+65万円の「給与所得控除」+27万円の「勤労学生控除」=130万円の控除となり、1年間の給与所得が130万円以下であれば所得税がかかりません。

扶養親族にできる基準は?

Q:高齢者の親と同居していますが、扶養親族にできる基準を教えてください。また、同居していないが田舎の両親の仕送りを毎月していいます。こちらも扶養親族にできるのか?

→扶養とは、自分以外の人の生活費の面倒をみている状態のことを言います。年齢が16歳以上の、ある一定の要件を満たしている人がいれば、生活費の面倒をみている人を「扶養控除」として申請でき、所得税や住民税が軽減されます。

具体的には、

  • ・別居している親の年収が180万円未満であること
  • ・別居親族の収入が被保険者からの仕送り未満額

この場合の別居親族とは両親に仕送りをしている子のことを指します。

以上の要件を満たしていれば、扶養親族に含まれます。

なお、扶養している親が70歳以上なら老人扶養親族になります。自分や配偶者の父母や祖父母の生活費の面倒をみている場合がこれに該当します。

もし母の生活費を兄弟で送金している場合なら、だれか1人だけが扶養控除の対象とすることができます。

収入が年金だけで、その年金収入が158万円以下の場合が老人扶養親族になります。

ただし、厚生年金保険法に基づく遺族厚生年金や、国民年金法に基づく遺族基礎年金などは非課税所得なので、もし遺族年金のみが収入の場合は金額に関係なく老人扶養親族となることができます。

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