■確定申告で還付されても高い住民税を払う3つの違い

ではなぜ確定申告で所得税が還付されたのに、高額の住民税を払うことになるのでしょうか。所得税と住民税の制度には、以下の3つの違いがあるからです。

  • ・所得税は源泉徴収されるけれど住民税は源泉徴収されない

一つ目の違いとして「源泉徴収制度の有無」が挙げられます。所得税は給与所得以外にも「あらかじめ所得税を支払額から天引きする」源泉徴収を義務付けています。個人が何らかのモノ・サービスの提供をして受け取る報酬で源泉徴収の対象となるものには、次のようなものがあります。

  • ・原稿料・デザイン料・講演料等の報酬
  • ・弁護士・会計士・税理士・司法書士などへの報酬
  • ・ホステスや芸能人、スポーツ選手や保険外交員への報酬

ライターやWEBデザイナーへの報酬は、10%前後の所得税が天引きされた上で支払われます。そのため、確定申告をすると多めに前払いした税金の一部が還付されるわけです。しかし、事業所得にかかる住民税に、このような制度はありません。住民税が源泉徴収される所得は給与所得や利子所得、配当所得など、ごく一部です。

  • ・住民税の方が所得控除額は少ない

二つ目の違いとして「所得控除額は住民税の方が所得税より少ない」というのが挙げられます。扶養控除や生命保険料控除といった所得控除制度はどちらにもあるのですが、所得から差し引く金額は住民税の方が少ないのです。結果、住民税の課税所得額が多くなり、税金も高くなります。

出典:練馬区役所公式ホームページ

 

なお、青色申告控除は住民税でも適用されます。そのため、65万円控除自体は活きているのですが、所得控除を加味する段階で課税所得額が高くなってしまうのです。

  • ・所得税は累進課税で5~45%、住民税は一律10%

三つ目の違いとして「税率の違い」が挙げられます。所得税の課税所得金額の計算の流れは住民税と同じなのですが、税率は一律10%ではありません。累進課税制度を採用しているため、課税所得額によって税率が変わるのです。

出典:国税庁「所得税の税率」

節税をして課税所得額を200万円から100万円にすると所得税の税率は10%から5%に下がります。しかし、住民税の税率は変わらず10%です。この税率の差の分だけ、住民税は高いのです。

以上、3つの違いにより「確定申告で還付を受けても高い住民税を払う」現象が生じます。