2. 2020年版 法人別過去3期の業績推移

①トーマツ:業務収入を順調に伸ばし営業利益も改善

監査証明業務収入が前年度比4.3%増、非監査証明業務収入が8.2%増と、ともに収入を増やす好調を示す結果となりました。

前年度落ち込んだ営業利益は前々年度並みに改善。業務費用は前年に比べ増大しており、それを上回る業務収入の増加があったことが収益構造改善へと繋がりました。

業務費用の内訳をみると、情報システム及び通信費が48億1100万円から65億9千万円に、その中でもIT業務分担金が28億6千万円から43億8300万円に増えるなど、IT関連費用が増えてきています。

逆に新型コロナウイルスの影響か、旅費交通費が22億9100万円から17億5600万円に減少しました。

②あずさ: 成長は加速、営業利益も大幅増益へ

監査証明業務が前年度比5.7%増、非監査証明業務が4.5%増と、特に監査証明業務に顕著な伸びがありました。さらに、営業利益の改善が目を引きます。ただし税負担が響き、当期純利益率は1.0%未満となりました。

費用の内訳をみると、情報システム関連費用が30億3千万円から33億2800万円と3億円の増に。また業務委託費も、61億8200万円から72億6400万円と10億円強の増加となりました。『業務及び財産の状況に関する説明書類』内では、「2019年7月1日、株式会社KPMG Ignition Tokyo(略)が事業を開始しました。KPMGジャパンの監査、税務、アドバイザリーサービスの業務に共通のデジタルプラットフォームテクノロジーを開発・構築するとともに、企業のデジタルトランスフォーメーションを支援しています」と説明がされており、情報システム分野への今後の一層の傾注が見られそうです。

一方、新型コロナウイルスの影響か、旅費交通費は28億9500万円が20億200万円と、9億円近くの減に。

③EY新日本:堅調な伸び、極端に低い利益率の改善は依然課題

監査証明業務収入は、前年度が0.4%増だったものが、今年度は1.7%増と増加率が上向きになっています。

非監査証明業務については、前年度が7.1%減という大幅な減少だったのに対し、8.7%増と増収に転じました。前年度は非監査証明業務をEYアドバイザリー・アンド・コンサルティングに移管したことにより大幅な減少となりましたが、「IFRS導入支援サービスやIPO(株式公開)支援サービスをはじめ不正対策・係争サポートサービス、財務会計アドバイザリーサービス、気候変動・サステナビリティサービス」(『業務及び財産の状況に関する説明書類』)などのコンサルティングサービス提供が増大したようです。

当期純利益は、ここ3年はほぼ同額の、2億5千万前後を行ったり来たりしており、他法人と比べ極端に低収益体制となっています。

費用の内訳をみると、31億6300万円だった旅費交通費が22億3100万円と、10億円近くの減少となりました。他に水道光熱費が8千万円減少するなど、在宅勤務の影響が見て取れます。一方業務委託費は、112億6700万円が131億7千万円と20億近くの増へ。

他法人ではIT関連費が増大していますが、新日本はIT及び通信費が5千万円程度しか増加していない点は特徴的です。