【定員要求】
5年連続の純増を求める
定員要求では、インボイス制度導入に伴う適格請求書発行事業者となるための「適格請求書発行事業者の登録申請書」の登録が令和3年10月1日から始まることなどからの消費税軽減税率制度への対応や、国際的な租税回避行為への対応、コロナ禍での「新たな日常」の実現に向けた対応、日本産酒類の輸出促進への対応等の観点から、1227人(時限の定員含む)の増員を要求している。
国税庁では、令和3年度の定員合理化目標数1143人としていることから、増員から合理化数を差し引いた純増要求数は84人。定員が純増となる要求は平成29年度以降5年連続となるため、このまま要求が通れば令和3年度の定員は5万6037人となる。
【機構要求】
消費税の不正還付対策として主要税務署に「消費税専門官(仮称)」を設置
機構の要求では、ICT化への対応や調査・徴収事務の複雑化等への対応などの例年の要求に加えて、「業務センター室(仮称)」の開設を求めている。
まずICT化への対応としては、マイナポータルへの連携をスムーズに推進してく必要があることから国税庁長官官房の参事官に専担となる「課長補佐」を1名置く。また、年々複雑化、巧妙化が進む脱税手法・手段だが、証拠となる電子データを確実に立証するため消去等されたデータの復元を行うデジタルフォレンジック技術の開発等を行う「主任査察情報技術専門官(仮称)」を東京国税局に1名配置する。
調査・徴収事務の複雑化等への対応としては、国税当局の悩みの1つである消費税不正還付事案に関して、近年は法人税の調査が長期化傾向にあることから、専門的に深度ある調査を実施する必要があるため、各国税局の主要税務署に「消費税専門官(仮称)」の新設を要求しており、人員としては40名としている。
一方、徴収事務では、延納・物納の申請件数が減少していることから、国税局に納税専門官(仮称)を設置し、延納・物納の許可・処理の一元化を図る。人数的には、東京国税局9名、関東信越国税局4名、大阪国税局2名などを要求している。
また、国際化への対応については、国際的租税回避事案の情報収集や分析、租税回避スキームの解明など国際化事案の担当として「国際税務専門官」を東京国税局に3名、関東信越・名古屋・福岡国税局及び沖縄国税事務所に各1名、税務署に3名の設置を要求している。