来る2021年8月17日より、令和3年度(第71回)税理士試験が12都道府県19会場で始まります。長引く新型コロナウイルス感染症の流行により、受験戦略の変更を迫られた人も多く、近年のトレンドに反し前年度と比べ受験申込者数が増加となりました。受験者数の傾向および今年の試験の注意点について解説します。

1.税理士試験受験者数が増加に!

●全体の受験申込者数

国税庁ホームページ:「令和3年度(第71回)税理士試験 受験申込者数(科目別・試験地別)」より

近年の受験者数はずっと右肩下がりにあり「税理士資格の魅力低下なのか」と叫ばれて久しいですが、今年度は微増となっています。

ただし、人気が復活したわけではなく、前年度は初のコロナ流行下での税理士試験ということで受験を避けた人が、出口が見えない状況から今年は受験する選択肢をとったためと見られます。

都道府県別に見ると、軒並み受験者数増の中、東京都と広島県では受験者数が減少となりました。これは、受験者が申込時にコロナが流行している地域を避けたためと見られます。多くの受験者が東京都を避けて埼玉県を選んだようで、埼玉県は前年比18.6%の増と大幅増になりました。

●科目別受験申込者数

国税庁ホームページ:「令和3年度(第71回)税理士試験 受験申込者数(科目別・試験地別)」より

科目別受験者数合計も、前年の5万4301人から1.4%増の5万5066人となりました。

受験者数を科目別にみると、簿記論が対前年比104.1%、財務諸表論が対前年比107.4%となった他は、減少となっています。

税理士試験は、必須科目の簿記論と財務諸表論を最初に受験し、その後税法科目にチャレンジするコースが「王道」です。前年初受験を回避した受験者が今年受けることで初受験者の数が相対的に多くなり、簿記論と財務諸表論および全体の受験者数が対前年比で増えたと考えられます。

税法科目は、法人税法と所得税法では法人税法の方が受験者数が多く、その他税法科目の受験者数は消費税法、相続税法、国税徴収法、固定資産税、酒税法、住民税、事業税―という順序に変化はありません。