資産税特化で有名な税理士法人 深代会計事務所の所長・公認会計士、税理士の花島宣勝氏は新卒でアルバイトとして入所し、24年間深代会計一筋でお客様に寄り添い続けてきました。公認会計士という職業との出合いから現在に至るまでのキャリア、同じ業務に長く携わっているからこその強み、今後のビジョンも交えてお話をお伺いました。(取材・撮影:レックスアドバイザーズ 村松)
公認会計士としてのキャリア
まず、会計業界を志したきっかけについて教えてください。
花島:最初に公認会計士という名前を知ったのは、小学校1、2年生の頃でした。将来の職業について考えて提出するという課題があり、世の中にはどのような仕事があるのか、自分でも調べ、親にも聞きました。そのときに「資格を目指すとか、そういう道もあるよ。」と税理士、弁護士、司法書士、行政書士、そして公認会計士という職業を挙げてくれました。
まだ自分では漢字で書けなかったので、書いてもらったところ、公認会計士だけ漢字が5文字。しかも「公認ってどういう意味?」と聞いたら「公に認められている会計士だよ。」と教えてもらって、単純に「かっこいい!」と思いました(笑)
ご両親はどういうお仕事をされていたのですか?
花島:父親はもともとサラリーマンで経理担当。税理士の資格はありませんでしたが、会社を辞めたあと、いろいろな中小企業の会計業務をしていました。母親も会社勤めでずっと経理にいましたね。そういう意味では数字的なところに強いのは血筋かもしれません。
しかし、当時の私が知っていたのは公認会計士という名前だけで、どういった仕事なのかはさっぱり分からないままでした。小学校の卒業文集にも将来の夢として公認会計士と書きましたが、中学に入ってからよく調べてみたら、こんなに難しい資格なのかと驚きました(笑)
難しい資格だと分かった上でも、結果的にその道に進まれています。ここには何かきっかけがありましたか?
花島:高校のときにOBが訪問してくれて、その中の1人が大学3年生のときに現役合格した方でした。その方の話を聞いていて「そういえば小学生の頃、公認会計士になりたかったな。」と思い出したのです。話を聞いてみたら、仕事内容も面白そうでしたしね。そこで、大学に入ってから本格的に勉強を始めました。
資格の勉強を実際に始めてみて、いかがでしたか?
花島:私の時代は論文7科目、一発勝負の試験でした。大学では会計士の勉強会に所属していて、1年生の冬休みから集中して一気に勉強して、平成6年、大学4年生で合格しました。一緒に勉強する友達がいたことと、大学生のうちにこれはやったと言えるものが欲しくて、やる気を継続できたのでしょうね。
深代会計事務所でのキャリア

試験に合格されてから、ずっと深代会計事務所で勤務されているのですよね。
花島:私が合格した平成6年と卒業した平成7年は、バブルもはじけたあとで会計士も超就職難。平成6年の合格者が800名弱いたはずですが、当時の大手BIG6に就職できたのは150人くらい。どうしようかと思っていると、たまたま深代に勤めていた先輩が「アルバイトに来ないか?」と誘ってくれて入りました。
アルバイトから入られたのですね。
何年か経ったら転職をされる方も多い業界の中で、深代会計事務所に根を下していらっしゃるのはどうしてでしょうか?
花島:無理やり自分の信念を曲げさせられる仕事がなかった。それが大きいと思います。深代は真っ直ぐな人間なので、税務や会計に対してきっちり白は白、黒は黒、という姿勢で仕事をしています。私も勉強になりましたし、その部分に居心地の良さを感じました。
あと、独立すると自分がやれる業務が狭まってしまうようにも感じられます。今は事務所の看板でいろいろな仕事が来ますが、個人ですと自分の信念を曲げてでも収入確保のために仕事を取らなくてはならないこともあります。それに、難しい案件に対して自分だけでやれるのかと躊躇してしまうかもしれません。その点、うちは人員もいますし、初めての案件であっても知恵を出し合いながら業務を進めることができます。
会計士としての視点を持ちながらずっと税務をされている点が、特徴的なキャリアかと思います。普段の業務でどのようなことをを意識されているのでしょうか。
花島:会計士出身なので、チェックリストが大好きです(笑) あと、会計士というところで後輩から言われたのは、私が会計士の出身なので「簿記の考え方をする」ということですね。
例えば相続税だと、資産から負債、債務を引いて、そこに純資産、資産があって、そこから基礎控除を引くという数字の羅列なのですが、私は頭に浮かぶのがB/Sなのです。建物であれば固定資産税評価額とか1個1個積み上げていって、計算式は成り立つのではないかという話ですが、私は1個1個積み上げるというより、全体感を見ますね。
ありがとうございます。深代会計事務所だからこそ味わえた経験はありましたか?
花島:深代会計のお客様は個人の地主さんが多いので、面と向かってご相談いただけます。このように実務から学べる部分が、「お客様のために」と第一義に考えている私に合っていました。他の会計士の方ですと、監査法人から大きな会社の経理部へ、そのあとIPOをして…と新しいポジションへ次々に転職していく方もいらっしゃいますね。しかし私の場合、同じ法人にいて地主のお客様が多いといっても、ご提案する内容は千差万別。お客様のお悩みは一人ひとり違いますし、それに対応することで常に新しいことを学んでいます。今でも新規のお客様と話をすると、面白いと思えますよ。長く同じ業務に当たっているからこそ、時代の流れ、トレンドを感じられます。
トレンドというお話が出てきましたが、現在どのような変化が生まれていると感じられますか。
花島:私が入ったころのお客様が今2代目3代目になっていますが、家を継ぐという感覚が昔とはずいぶん変わってきています。昔のように長男が継いで、それ以外の兄弟は少し現金などをお渡ししておしまい、ではないのです。本家は本家で保ちつつ、会社を分割するというケースもあります。
現代は、家族は平等であるという考え方が強くなっている。自分の権利を主張される方が多くなっていますから、今後はさらにバランスを取りながら進める必要が出てくるでしょうね。
経営についてと今後のビジョン

資産税といえば、深代会計事務所は有名です。その所長として、意識されていることや大事にされていることはありますか?
花島:もちろんお客様のためにということが根底にありますが、従業員が働きやすいように情報を所内で共有することは意識しています。例えば「遺言書を作りましょう」となったときに、どの公証役場で作るかによって進み具合が違うのです。各公証役場の先生のお人柄など、実際に行かないと分からないことについては所内で情報を共有しています。
あとは、所員のつまずきを早めに察知してフォローすること。1人で抱え込んで前に進まないままだと結局お客様のためになりません。できないことや分からないことをフォローし合いながら進めていけるように気を配っています。
育成の面では、勉強会も頻繁に開いています。法人は月2回、資産税も月2回。新しい所員にも短期集中で2~3週間ほど研修をしています。
それが、組織を良くする、そしてお客様にもサービスとして還元されるということなのですね。
KaikeiZineの読者へメッセージ

最後に、KaikeiZineの読者へメッセージをお願いします。
花島:クラウド会計の登場で、帳簿の入力や会計を締める、申告書を作成するといった業務は、専門性が不必要になってきています。そうするとコンサルティングをすべきだという話になることが多いのですが、私はいつも「我々のできるコンサルティング業務は何だろう。」と考えています。
当事務所のお客様は個人の地主さんがほとんどですので、私の考える当事務所にとってのコンサルティングとは「この人に聞けば全部答えてくれる」と思ってもらえることです。とはいっても、私が全ての質問に回答できるわけではありません。例えば「弁護士さんをちょっと紹介してほしい」と言われたら、弁護士さんを紹介してあげる、といった形です。ワンストップで何でもできるということが、個人のお客様については特に重要です。金融機関、FP、保険会社、弁護士、司法書士、そういった方たちと上手くお付き合いをしながら、自分が中心、ハブとなってお客様と繋ぎ合わせていく。そういったサポートが当事務所に最適なコンサルティングだと考えています。
もちろん自分が全て分かった上で繋げることも重要なポイントです。「私では保険のことがよく分からないので、保険会社と繋ぎます」と単に投げてしまうと、私たちが外に置かれて、お客様が違う方向に走ってしまうこともあるでしょう。窓口として上手くコントロールしてあげる技術が、これから税理士や公認会計士に求められる力になると思います。
「自分が全部ワンストップでやります」と簡単に言えるけれども、実際にワンストップでやるためには知識や経験が必要です。今後は会計という専門の枠を持ちながらも、それ以外のプラスアルファの部分を磨くことが大事になっていくと思いますよ。
【編集後記】
専門性だけでなくプラスアルファの部分を磨く。会計業界が益々発展していく様子が思い浮かびとても楽しみです。花島先生、ありがとうございました!
税理士法人 深代会計事務所
●設立
2002年
●所在地
東京都豊島区東池袋1-17-8 NBF池袋シティビル7F
●ビジョン
1.私達は、「日本一」とお客様に評価していただける事務所になります。
2.私達は、社会に貢献する人材を育てる事務所になります。
3.私達は、強い団結力を持った事務所になります。
4.企業は未来永劫、飛躍的に発展し続ける。
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