ご紹介するのは、働き方を見直し、フルリモートの採用に踏み切ったことで、地方の優秀なスタッフを採用された会計事務所様の導入事例です。
コロナ禍により、徐々にリモートワーク、テレワーク、在宅勤務などの導入を始めている事務所様が多くなりましたが、業界全体としてはまだまだ普及したとは言い難い状態です。
今回は、働き方を見直し、フルリモートの採用に踏み切ったことで、地方の優秀なスタッフを採用された会計事務所様の導入事例をご紹介!
「なかなか良い人材が見つからない」とよく聞きますが、実は日本各地に優秀な人材は隠れているだけかもしれません。
リモートワークに興味を持っているけれど、自社ではすぐに踏み切れないと考えている方におすすめの事例です。
本記事の事例でご紹介するのは、神奈川県茅ヶ崎市で、“地元の身近な専門家”をスローガンに、地域に根付いて活動されている【会計事務所 湘南フロンティア様】。
元々は大手監査法人の同期として切磋琢磨してきたお二人が、その名の通り【フロンティア=最先端】の働き方を体現するために、どのような想いで「フルリモート勤務」について取り組まれたのか、取材しました。
<<フルリモート人材をご採用された事務所様>>
会計事務所 湘南フロンティア
代表 公認会計士・税理士 米森達也
公認会計士 田村 耕太郎神奈川県茅ケ崎市で、“地元の身近な専門家”をスローガンに、地域に根付いて活動している。

Q 神奈川県所在地の会計事務所で、今回、愛媛県にお住まいの方をフルリモートワーカーとして採用したとのことですが、フルリモートワーク導入のきっかけはどういったことでしたか?
私自身、小学生2人と幼稚園1人の子供がおります。茅ヶ崎で事務所を開業した時、一番下の子供はまだ幼稚園だったこともあり、地域の保護者会などで同じような子育て世代の主婦の方々と交流する機会も多くありました。
そこでお話を聞いていると、とても優秀なキャリアがある方や、難関資格をお持ちの方も多くいらっしゃるにも関わらず、皆さん働ける場所がないと言う言葉をよく耳にしていました。お子様が幼稚園や学校に行っている間なら働ける、働きたいのに…とため息をつく様子を見て、「時間が合わない」というだけでこのスキルが活かされないなんて、もったいないなぁと感じていました。
当時はまだ開業したてだったこともあり、すぐに在宅勤務の実践とは至りませんでしたが、その頃から時間に縛られない在宅勤務を導入したいというイメージはありました。
事業拡大を続けてきた2020年7月に、ITやPCに詳しい田村が合流したことで一気に具体化していきました。
Q 身近なところから既にニーズを感じていたのですね。フルリモート導入にあたり、懸念点などはありませんでしたか?
懸念点という程の懸念はありませんでした。新しいチャレンジをするのだから、やってみたら何か問題も発生するはずだという心構えはありましたし、その時は皆で問題に対し改善点を相談していけば、ちゃんと解決できると思っていました。
Q まずはやってみる!という精神、まさに【フロンティア】ですね。今回、実際に愛媛という通勤が不可能な距離の方をフルリモートで採用されましたが、そこまで思い切って踏み込めた理由はなんでしたか?
一つは、単純にお人柄を含めとても優秀な方だったことです!
ご自身の試験勉強のための時間と、小さいお子様のための時間が必要であるという、まさに私が地元で聞いていたのと同じ「時間制限のために埋もれてしまっている優秀な人材」でした。
遠方のため、面接はWEBツールで行いましたが、面接の途中で満場一致の即決となる程、お人柄もスキルも申し分のない方で、こんな方が「フルタイムでは働けない」という理由だけで埋もれていたのか…と、信じられない思いでしたね。
もう一つは、私自身が独立以前から、「定時で働く」という働き方に疑問を持っていたことです。
会計業界は、繁閑の差が激しい業界です。繁忙期には深夜まで働くことがある一方、閑散期は大して急ぎの仕事がなくても定時までいるという状態でした。
締め切りまでに仕事を仕上げることは大前提ではありますが、電車が止まるような大型台風の日にも、「定時だから」出社しないといけないのは何故だ!と、びしょ濡れになりながらいつも思っていました(笑)
もっと個人のライフスタイルや状況に合わせた働き方が出来ないものかと、常々感じていましたね。
私自身、子供の学校行事には絶対参加するようにしているのですが、そうすると当然、平日の日中に仕事が出来なくなります。ただ、急ぎのものならその日の早朝や夜にやったり、そうでなければ土日でカバーしたり、いくらでも調整は可能です。
9時~17時に出社する働き方だと、子供との時間を作るために仕事を諦めたり、仕事のために子供の成長を見る機会を諦めたりする人が出てくることを、前述の保護者会などで感じていました。
私自身どちらも諦めたくないから、諦めないためにどうしたらいいか考え、思いついた手段の一つが、在宅勤務の導入です。
Q 以前からご自身で感じていた定時制度の疑問と、周囲から聞いていたニーズ、そして田村先生の合流が合致して、今回の採用に至ったのですね。フルリモートを導入してみて、メリットに感じる部分はどんなところですか?
メリットは、この制度のおかげで遠方に住んでいる優秀な方と出会えたことですね。
あとは…びっくりするほど“普通”です。
事務所に出社して仕事してもらっているのとほとんど変わりません。実際、スタッフに事務所に出社してもらっていても、私自身はほとんど事務所にいないので、そうするとスタッフとのやり取りはリモートワークとほとんど変わらないんですよね。
実は少し前から、地元に住んでいて普段は出社しているスタッフにも、毎日ではないですが在宅勤務を試してもらっていました。特に必要がなくても体験しておくことで、自宅で仕事する際に何が足りないか、どんな不便があるのかなど、各々の家庭の事情で異なることも判断できますし、フルリモート勤務をしているスタッフから知見を得ることも。
今後、コロナウイルス以外にも病気が流行したり、地震などの災害が起こったりして出社が出来ないということがあっても、スタッフが在宅勤務に適応しておくことで、事務所を止めることなくサービスを提供することが可能になっていくと思います。
これも今後に向けたメリットかなと思います。
Q 逆に、フルリモートの導入においてデメリットと感じることや、気を付けないといけないことはありましたか?
フルリモートのスタッフが入社して1か月半ですが、お互いにデメリットと感じることは特にありません。
あえて挙げるとするなら、資料のデータ化が完全ではないので、やり取りに少し時間がかかるケースもあることでしょうか。これは今後の改善点です。
あと、気を付けていることはコミュニケーションを欠かさないということです。これは別にリモートに限ったことではありませんが、スタッフ一人ひとり声をかけ、困っている事や相談したいことを共有し、話しかけやすい存在であるように心がけています。会計事務所での業務って、基本的に一人で黙々とやれる作業が多いので、リモートの場合はより意識して声をかけてはいます。
在宅勤務に限らず、今までやっていなかったことをやるのは、とても勇気がいり、怖いことです。どんなに良いと思える制度だったとしても、変化にすぐに適応出来る人、出来ない人、歓迎してくれる人、してくれない人がいます。
大切なのは一人ひとりとコミュニケーションを取り、うまく出来ないことがあるなら何故なのかを聞いて改善していく、その繰り返しだと思います。
会計事務所での仕事は元々担当者が一人で仕上げていくものが多いので、意識してコミュニケーションを取らないと、出社して周囲にスタッフがいたとしても孤独になりがちです。
ですので結局、在宅勤務でも出社勤務でも、ポイントとなるのはコミュニケーションの取り方と信頼だと思います。
自分が採用したスタッフを信頼し、コミュニケーションを取り、必要な時にサポートしていけば、スタッフたちはきちんと応えてくれます!
会計事務所での仕事は、在宅勤務に適した業種の最たる一つだと思います。
在宅勤務が取り入れられない理由も色々あるのでしょうが、まずはやってみないと実際のところは分かりませんし、時代のニーズに対応していかないと採用も難しくなり事業が存続していけなくなります。
今後の会計業界を盛り上げていくために、在宅勤務にチャレンジしてくれる事務所が増えていくことを期待しています。
私たちも、また新しい取り組みにどんどんチャレンジしていきます!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回ご紹介した事例で特徴的だったのは、「家庭と仕事を両方諦めたくない」という想いを米森代表自身が感じていらっしゃり、その想いを体現するために在宅勤務という手段を選ばれたこと、そして繁忙期・閑散期が明確な会計業界だからこそ在宅勤務のメリットが得られるやすいということでした。そして在宅勤務を成功させる秘訣は、一人ひとりとのコミュニケーションをしっかりと取っていき、個々の事情に応じてサポートを心がけるというのがポイントでした。
採用面では、距離を意識せずに採用を始めると、希望の人材が見つかりやすいというメリットもありました。
このような事例を踏まえ、「働き方改革」と「採用」のメリットが得られる在宅勤務を「まずはトライしてみる」という気持ちでスタートしてみてはいかがでしょうか?
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