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酒井克彦の「税金」についての公開雑談~甲乙という匿名表現とマイナンバーカード~

特別定額給付金の入金が全国各地で遅れたことの理由の1つとして、マイナンバーの運用整備が十分でなかったことが話題となりました。そこで、政府は、マイナンバーと預金口座の紐づけを早急に進めるべく検討を進めていたわけですが、最近になって義務化は見送り、任意とする方向性となった模様です。さて、今回はマイナンバーカードの議論において度々話題となる「個人情報の匿名性」について考えます。

甲・乙・丙

判例研究などを法律学の講義で用いる際には、判決文などにおいて個人名を特定させない工夫を施すことが多々あります。

最近では、原告を「X」、被告を「Y」と表現することも多いですが、我が国の伝統では、原告を「甲」、被告を「乙」と表現することも依然多く見受けられます。

この点、裁判の書証番号の符号については、原告が「甲」、被告が「乙」、参加人等が「丙」とされています。また、被告が複数存在する場合などは、「乙A」、「乙B」といった符号を用いるものとされていることとも整合的です。

法学部の学生が、「甲(こう)」と「乙(おつ)」を学習場面で多用するものですから、「乙女(おとめ)」という語を、ついつい匿名表現に引っ張られて「おつじょ」と読んでしまうという話は、よくある鉄板ネタの1つです。

以前、「ゲスの極み乙女。」という人気音楽バンドのボーカルが、不倫騒動で私生活をパパラッチにさんざん暴かれてしまいましたが、「おとめ」ならぬ「おつじょ」であれば匿名性が保たれていたと思うと皮肉な話ですね。

匿名性とマイナンバー

ところで、個人情報の匿名性が特に議論されるのがマイナンバーやマイナンバーカードです。

デジタル改革担当・情報通信技術(IT)政策担当・内閣府特命担当(マイナンバー制度担当)の平井卓也大臣は、特定された個人情報に紐づけされているマイナンバーカードを「デジタル社会のパスポート(成り済まし防止の最終兵器)」と表現しており、成り済まし防止のために有益な制度であると強調しています(令和2年10月17日付ライブドアニュース〔https://news.livedoor.com/article/detail/19072866/〕)。

更に、甘利明自民党税制調査会長は、ツイッターに投稿し、ヒット曲の歌詞をもじってマイナンバーカードについて「私以外私じゃないの~」と説明しました。そう、ここにも「ゲスの極み乙女。」が顔を出しています。


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著者: 酒井克彦

中央大学法科大学院教授/法学博士

中央大学法科大学院教授。法学博士。現在、税務会計論・租税法などを担当。一般社団法人アコード租税総合研究所 所長、一般社団法人ファルクラム 代表理事。単著に『スタートアップ租税法〔第4版〕』、『クローズアップ保険税務』、『クローズアップ事業承継税制』他5冊のアップシリーズ、『所得税法の論点研究』(財経詳報社)、『裁判例からみる所得税法〔二訂版〕』、『裁判例からみる法人税法〔三訂版〕』、『裁判例からみる税務調査』、『裁判例からみる保険税務』(大蔵財務協会)、『レクチャー租税法解釈入門』(弘文堂)、『プログレッシブ税務会計論Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ』(中央経済社)、『アクセス税務通達の読み方』(第一法規)、『キャッチアップ改正相続法の税務』、『キャッチアップ外国人労働者の税務』、『キャッチアップ保険の税務』(ぎょうせい)など。その他、論文多数。
■一般社団法人アコード租税総合研究所
http://accordtax.net/
■一般社団法人ファルクラム(FULCRUM)
http://fulcrumtax.net/

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