資産税コンサルティングのプロフェッショナルとして、同業他社からも信頼が厚いタクトコンサルティング。2020年に代表取締役社長に就任をした、公認会計士・税理士の山田氏は、平均年齢が70代になる税理士の未来を「この上なく明るい」と語っています。今回は、山田氏のこれまでのキャリアと今後のビジョンに迫ります。

公認会計士としてのキャリア

まず、会計士を志したきっかけから伺いたいと思います。

山田:新卒で銀行に入行し仙台支店に配属されました。手厚い研修も受け不動産鑑定士補の資格も取得し、これから銀行員として活動していこうとした矢先に家庭の事情で東京に戻る必要ができたため、迷いましたが退職を決意しました。

東京に戻り転職を考えた際に、短いながらもサラリーマンを経験したので次は何か資格を取得し、自身の力で生活していけるような職業に就きたいと考え、友人の勧めもあり公認会計士を目指すことにしました。

その後、監査法人を経て、山田&パートナーズに入られています。このときの経緯を教えてください。

山田:会計士試験に合格後、監査法人に3年半勤めましたが、監査という仕事に迷いを感じるようになりました。監査は社会的に意義のある仕事です。ただし、私の場合は、直接お客様と接し、お客様のために力を注ぎ、お客様に感謝される仕事が自分のやりたい仕事なのだと気づき、次は税務に関わる仕事をしようと思うようになりました。

税務は納税者と同じ方を向いて話ができますし、自分が勉強すればするほどスキルも上がり、レパートリーも増えていきます。中でも資産税は、お客様一人ひとりにしっかり寄り添って話を聞いていく仕事。非常に人間臭く、泥臭い分野です。当時、山田&パートナーズが資産税では独立系の中でも大手だったので入所しました。

山田&パートナーズで4年勤務されたあとに、大手電機メーカーの財務戦略部に行かれています。何か理由があったのでしょうか。

山田:山田&パートナーズでの業務は非常に刺激も強く、やりがいもあり、自信が成長できた4年間でした。ただ、資格を持った今の自分が世界的な大企業でどれくらいの力を発揮できるのか、いわゆるグローバル企業を経験してみたいと思いから転職を決めました。

世界的なグローバル企業とご縁があり入社をしたわけですが、財務戦略・経理として陰で会社を支えることよりも、やはりその会社の主役となって、直接お客様と接したり、会社の成功や発展を会社の中心で仲間たちと共に喜ぶことが自分に合っていると改めて感じるようになりました。

このメーカーでのキャリアは短い期間でしたが、人生を変えるような素晴らしい出会いにも恵まれて、今でも私のお客様になっていただいている方がいます。何事も経験であり、回り道をしましたが無駄なことは何もないと実感しています。

そして、タクトコンサルティングに入社をするわけですが、本郷先生に手紙を書かれたそうですね。本郷先生とは元々、面識があったのですか。

山田:本郷先生と直接の面識はなかったのですが、業界内で有名な方でした。

ちょうど私の友人もタクトコンサルティングで働いていましたので事務所の様子を尋ねたところ、本当によい事務所だと強く断言されたため、「自分もここで働きたい…!」と思い、本郷先生に手紙を書いて採用してもらったというわけです。

タクトコンサルティングでのキャリア

2002年にタクトコンサルティングに入社されました。どのような社風でしたか?

山田:当時から、基本的に5科目合格者を採用していました。それは自分自身で判断できて、自分自身で責任を取って仕事をできるようにする組織だからです。所属しているのは、それぞれが自分で税理士として活動できる能力、スキルを持っておられる方たちばかり。私も入って最初の3年ほどは先輩と一緒にタクトの仕事のしかたを勉強させてもらいました。しかしそこからは誰に指示されるわけでもなく、自分で仕事をしていきました。現在、代表取締役という会社を代表する立場ではありますが、組織としては非常にフラットだと思います。

この18年間の中で、大変だったエピソード、嬉しかったエピソードはありますか。

山田:大変だったエピソードはあまりありません。嬉しいことは年中あります。本当に年中。自分が勉強して、お客様の問題解決にあたり、お客さまから感謝されて、そしてお金までもらえる。心の底から「本当にいい職業」だと思っています。

経営についてと今後のビジョン

代表になられてから意識していることはありますか。

山田:やはり我々の仕事は、ものすごく勉強しなければならないと思っています。せっかく税理士になって、資産税の道を極めようと入ってきてくれた方が40人います。その40人が勉強して専門性をさらに磨いていけば、個人ではとても有名な先生でも、会社全体では凌駕できるくらいの能力・知識・経験を身につけていけると考えています。今年の9月も15日間ほど、ある特定の分野の勉強を毎日1時間、その時間は仕事禁止で、社員みんなで勉強する時間として過ごしました。こうした事は、これからも定期的に実施したいと思っています。税理士は勉強をしていないと、あっという間についていけなくなります。おかげさまで皆本当に勉強が好きなので、少なくとも資産税の分野ではトップをとるべくこれからも所員全員で勉強を続けます。

もう1つ、私がよく言っているのは「基本はみなさん自由ですよ」ということ。全体で50人弱という小さな所帯ですから、一人ひとりが輝いてもらわないと成り立ちません。3年目でも5年目でも、自分自身の個性を大切にして自由にしていいのです。ただし、自由と責任は表裏の関係。自由を謳歌するのであれば、自分の責任を果たす必要があります。例えば我々役員であれば、会社が利益を出すような仕組み作りをしていくという責務です。

御社が資産税に特化されたのはいつからでしょうか。

山田:現在、顧問である本郷が横浜で創業して以来、45年間、資産税に特化してきました。主な業務分野としては、親族内事業承継やM&Aをはじめとした親族外事業承継、相続税対策と相続税の申告業務、組織再編業務や不動産に関する税務コンサルなどになります。基本的には顧問報酬はなく、3~5年掛けて行うスポット業務が中心です。私どもが直接お客さまから仕事を依頼されることはほとんどありません。全国の会計事務所・税理士法人や銀行・生命保険会社などの各種金融機関そして不動産会社様から、資産家や企業オーナーをご紹介され、お客さまと接点を持ちます。

長年すすめてきた全国の会計事務所・税理士法人との提携は、HPで非公開のものも含めて500を超えてまいりました。これは、私どもタクトコンサルティングの仕事が評価されてきたことの証であり、先生方ときちんと協業をしてきた成果であると思っています。今後は、ますますこうした提携を増やしていきたいと思っております。

そのためには、相続、事業継承、組織再編といった資産税の分野で、1を聞かれれば10お返しするくらいの能力を持たないと発展できません。ですから勉強し続けることが必要なのです。

KaikeiZineの読者へメッセージ

最後に、KaikeiZineの読者へメッセージをお願いします。

山田:私は、せっかく税理士になったのなら、一般事業会社よりも税務を本業にしている税理士法人や会計事務所で働いた方が楽しいのではないかと思っています。一般事業会社の経理は完全にバックヤードで、その会社のメインは製造・販売など別の部分にあるのですから。

そして、税理士法人や会計事務所に来るのなら、ぜひ勉強ができる事務所に行ってほしい。一生勉強していくという覚悟をもって仕事ができる事務所に行ってほしいと思うのです。

今、税理士は8万人登録していて、平均年齢は70歳。高齢化が進んでいますが、手に職をつければ70歳を過ぎても働けるということです。税理士業界の今後は明るいことこの上ないと思っているので、頑張っていただきたいです。

【編集後記】
資産税最高峰といわれるタクトコンサルティングの皆さまは常に専門性を磨き続け、個人が存分に実力を発揮しているということが伝わってくるインタビューでした。山田先生、ありがとうございました!

税理士法人 タクトコンサルティング

●設立
1975年08月

●所在地
東京都千代田区丸の内2-1-1 明治安田生命ビル17F(丸の内MY PLAZA)

●理念

1.お客様の期待に応え感謝されるサービスを提供します。
2.経済・社会の発展に寄与できるサービスを提供していきます。
3.業務を通じて専門性を高め、プロとして成長することを目指します。

●企業URL
https://www.tactnet.com/

 

KaikeiZineは会計プロフェッショナルの活躍を応援するキャリアマガジンです。インタビューや取材を通じての情報発信をご希望の方はお問合せください。
取材・掲載は無料です。
お問合せはこちら