新型コロナウイルス感染症流行の初期段階における我が国の水際対策は適切だったのでしょうか?例えば、新型コロナウイスルが発生した中国武漢市からのチャーター便手配や、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号内に発症したコロナウイルスに対する我が国の取組みの是非などについては、今後の議論を待つほかありませんが、今回はその際に活躍した税務大学校の宿泊施設をご紹介します。
埼玉県和光市の税務大学校
新型コロナウイルス蔓延という事態を招来したともいわれる上記の初動対策の是非は今はまだ判然とはしませんが、実は、上記の2つの大きなインパクトのあった問題に、租税行政庁もある関わりを有していました。
武漢市からの帰国者や上記のクルーズ船から下船した乗客の隔離施設として、埼玉県和光市にある税務大学校の宿泊施設がそれに使われたことは大きく報道されたところですので、ご存じの方も多いと思います。
この点、最近(令和2年7月)国税庁が発表した『国税庁レポート2020』では、「新型コロナウイルス感染症に関する国税庁の対応(令和2年5月15日現在)」として次のように記されています(同レポート19頁)。
「内閣官房(内閣官房副長官補事態対策・危機管理担当)の要請に基づき、税務大学校和光校舎(埼玉県和光市)の学寮を貸与し、令和2(2020)年2月1日から同年3月16日までの間、中華人民共和国河北省武漢市から日本政府が用意したチャーター便で帰国した方やクルーズ船を下船した乗客乗員の健康観察期間中の宿泊施設として受け入れを行いました。」
「なお、全員が退去した後、学寮内の消毒・清掃作業を終了して返還を受けました。」