先日、アルゴリズムにより唯一無二の絵を生み出すロボット「Ai-Da」の描く自画像が、ロンドンの美術館、デザイン・ミュージアムで展示される運びとなったと英・ガーディアン紙が報じています(2021年5月18日付けThe Guardian WEB版)。長い間、芸術とは人間の文化的営みであり、それを表現することはロボットには不可能であるとされてきましたが、ついに芸術分野にもAIが進出してきたということでしょう。今回は、AIと芸術に注目してみましょう。

贋作を見破るAI

AIは、ピカソの贋作を見破ることができるといいます。それも、「一筆見ただけで贋作を見破る」能力があるというのですから驚きです(新井起子『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』34頁(東洋経済新報社2018))。

このような能力がAIにあるとすると、かかるAIに対する税務行政上の期待が高まります。例えば、国税庁は、平成29年に「税務行政の将来像」を発表していますが、それによると、次のように公売にAIを活用する旨が示されています(同14頁)。

これは、国税庁の示す税務行政のスマート化の一つです。スマート化には、スムーズ・スピーディ化とインテリジェント化が含まれており、前者は「納税者の利便性の向上」、後者は「課税・徴収の効率化・高度化」と位置付けられています。公売に活用されるAIは、まさに、後者のインテリジェント化に含まれるものでしょう。