租税実務の領域で、電子帳簿への関心が急速に高まっています。電子取引につき紙ベースの保存を認めないこととする電子帳簿保存法(正式名称「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」(平成10年法律第25号))の改正は、多くの実務家の関心を集めました。また、ここでは「優良な電子帳簿」の要件も注目されるところですが、今回はその認証制度から、「お墨付き」や「折り紙付き」といった言葉を考えてみましょう。

電子帳簿保存法の改正

令和4年1月1日に施行された改正後の電子帳簿保存法7条《電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存》では、同日以後の電子取引の情報につき紙での保存を認めないこととし、すべての事業者において電磁的記録による保存が義務化されました。この改正は、租税実務に相当なインパクトを与えたものと見受けられますが、結局、間に合わず対応できない事業者が多数生じているという実情に配慮する形で、令和4年度税制改正大綱において、これを事実上延長するための措置(宥恕措置)が講じられています。上記改正や宥恕措置の評価はさておき、実務上かなりの混乱が生じたことは紛れもない事実でしょう。

ところで、令和4年1月1日以降に備え付けを開始する電子帳簿について、電子帳簿保存法は、「優良な電子帳簿」と「その他の電子帳簿」を区別しています。訂正・削除の履歴確保や相互関連性の確保などの諸要件を充たした電子帳簿が「優良な電子帳簿」とされ、その場合には、過少申告加算税の軽減措置などのインセンティブが設けられたことも改正のポイントの1つといえましょう。

さて、ここにいう「優良な電子帳簿」体系を整えるべく、企業は電子化を進めなければならず、まさに、DX(デジタルトランスフォーメーション)が要求されるわけですが、ここで、会計ソフトの適格性が大きな鍵を握ることは言うまでもありません。

この点について、国税庁は、ホームページにおいて、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)による認証を受けたシステムが、それに当たるとしています(国税庁: JIIMA認証情報リスト(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/11.htm))。JIIMAでは、要件をクリアしたソフトウェアにつき、下記の認証マークを発行していますが、平たくいえば、この認証マークが付いているものは、いわば「お墨付き」が与えられたソフトウェアであることを意味するわけです。

(国税庁ホームページより)