「脱退一時金」とは
外国人が働いている事業所が健康保険および厚生年金保険等の適用事業所であれば、外国人であっても健康保険及び厚生年金保険等に加入することが必要になります。
しかし、加入期間が短い場合には厚生年金の保険料を支払っても年金の給付を受けることができません。
そのため、保険料の掛け捨てを防ぐために、外国人(厚生年金の被保険者期間が6カ月以上ある者に限ります)が帰国後2年以内に日本年金機構に請求することにより、「脱退一時金」の支給を受けることができます。
この非居住者が受け取る厚生年金の脱退一時金は、支払いを受ける者が居住者であった期間に行った勤務に基因するものであるため国内源泉所得となり、支給時に20.42%の源泉徴収が行われます。
「脱退一時金」は退職所得に該当
所得税法31条では、以下に掲げる一時金を退職手当等とみなすと規定されています。
「国民年金法、厚生年金保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法及び独立行政法人農業者年金基金法の規定に基づく一時金その他これらの法律の規定による社会保険又は共済に関する制度に類する制度に基づく一時金(これに類する給付を含む)で政令で定めるもの」
厚生年金の脱退一時金は、厚生年金法の規定に基づく一時金であるため、退職手当等とみなす一時金に該当します。そして、非居住者が受け取る退職手当に当たるため「退職所得の選択課税」を適用することにより、源泉徴収された税金の還付を受けることができます。
この制度を利用して源泉徴収税額の還付を受けるための申告は、脱退一時金の支給を受けた翌年の1月1日以降に行うことができます。ただし、同日前に退職手当等の総額が確定した場合には、その確定した日以後に申告することができます。
「退職所得の選択課税」を利用する場合の留意点
「退職所得の選択課税」を利用する場合、以下の点に留意が必要です。
イ) 扶養控除、配偶者控除、基礎控除等の所得控除の適用はありません。
ロ) 海外勤務中の社員が、日本において確定申告をする時は、一般的には、納税管理人を選任して、その納税管理人を通じて申告を行うこととなります。
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