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【儲けのしくみ】ビジネスモデル構築の極意 〜第28回 参入障壁②〜

どれほど優れたアイデアであっても避けて通ることができない「参入障壁」。
【儲けのしくみ】ビジネスモデル構築の極意第28回は参入障壁の後半、残り5種類についてご紹介しましょう。

参入障壁とは、文字通り、ビジネスにおいて新たな競合の進出を阻む諸要素のことです。
一般的なイメージとして、資金による障壁が思い浮かびますが、それ以外にも時間やノウハウ、リソースなども当てはまります。

こうした参入障壁について、前回11種類のうち、6つめの法律・規制までご紹介しました。
今回は、残り5つについてご説明します。

⑦ サンクコスト

元々は金融用語で、どちらかと言えばネガティブな意味合いを持つ言葉です。
過去に投資した資金を取り戻そうとして、さらに深みにはまってしまうような意味合いで用いられることが専らです。
参入障壁においては、特定の業界で先行している企業がこれまでに投下してきた資金のことを指します。

②資本コストとも似ていますが、サンクコストは長年にわたって積み重なってきた、つまり時間の経過も含んだ障壁です。
単に資金投入のボリュームではなく、その資金がどこへ投入されつづけてきたのかによって大きな障壁を作り上げます。
例えば、重厚な研修を長期にわたって行うことで、人的資本を強くし、独自性の高いオペレーションを築き上げてきた場合などが競合にとっての障壁になります。

⑧ スイッチングコスト

顧客が現在利用している商品やサービスから競合製品に切り替えるために負担するコストのことです。
もっともわかりやすい例がパソコンのMacとWindows。
旧来に比べ、多くは両OS用が並ぶようになりましたが、いまだ一部のソフトウェアでは専用のものが存在します。
例えば、長年Macで作り続けてきたデータや資料類をそのままに、Windowsへ切り替えることは容易ではありません。結果、多くのユーザーはできる限り使い続けようとします。
この障壁は、④の顧客ロイヤルティとは真逆の性質を持ち、顧客は特にコスト面で引き留まっていることが多く(商品やサービスの魅力<コスト状態)、新たな価格帯を提示することができれば、脆くも崩れてしまう短所を持っています。

⑨ 業界慣習

その業界だけで運用、通用する慣習のことです。
多くは収益構造と連接しており、簡単に置き換えられるものではありません。
例えば、建設・不動産やシステム開発における「多重構造」。
これはゼネコンやデベロッパー、ITならSierが元請となり、受注した案件内容に応じて、1次請け、2次請けと多重に及ぶ受注構造のことを言います。

こうした業界は、会計年度を通して平準化した売上が確保しにくいため、上底部分に合わせた固定費人件費を確保しづらく、案件規模に応じて多数の下請企業を通じて人員を都度カバーしています。
裏を返せば、こうした「連絡網」のようなものを持ち合わせていないと、仮に案件を取ることができたとしても、実行に移すことができません。

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