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新時代の会計事務所––財務戦略、M&A、再生など広がるビジネス

一般的に会計事務所というイメージは「会計、税金申告に関する代行業」といった具合だろう。
しかし、今の最先端の会計事務所は、会計・税務を切り口に経営コンサルティングを行っている。
クライアントも上場企業をはじめその子会社、地方の有力企業が中心だ。さらに個人顧客においては、オーナー社長をはじめとした富裕層の資産運用や相続対策など多岐にわたる。国際関係の業務にも積極展開しており、語学を生かしたコンサルティングも手掛ける。企業の海外進出というアウトバウンド業務だけでなく、日本に進出してきた外資系企業のインバウンド業務も会計事務所のコンサルティング領域だ。
戦略系コンサルティング会社とは違う、会計系コンサルティング会社として新たなステージを築いており、魅力的なビジネスフィールドとして注目されている。

会計事務所は未開拓業界

大学生やサラリーマンがいだく会計事務所の一般的なイメージは、「マンションの一室や自宅を改良したオフィスで、ワイシャツの袖をまくり帳簿作成、税金の計算をしている」「小規模企業の記帳代行業務を行っている」「小規模企業、個人の税金申告を行っている」と、あまりアカデミックなものではないようだ。
確かに、多くの会計事務所がイメージ通りといっても過言ではないが、この10年の間に、会計事務所は大きな変貌を遂げてきた。
都心を中心にスタッフ数100名を超える事務所も増え、一般企業のような組織でビジネス展開している。とくに、大企業相手にビジネスをしている会計事務所に求められるのは、社内では解決できない複雑な問題解決に対するアドバイスや具体的な対策・サポート、更には大企業並みのリスク管理など。
また、これら取引内容に関する業務品質の継続性も求められ、従来のように代表者の公認会計士や税理士だけがノウハウを持っているのではなく、優秀なスタッフが組織的にサービス提供する体制が必要とされる。そのため、優秀な人材を大人数抱えておく経営が不可欠となってくる。

大企業と取引する場合、やはりオフィスの見た目も大事で、総合的に自社と同じレベル感でないと取引してもらえないのが現実だ。
そのため、上場企業やその子会社をクライアントにしている会計事務所では、都心の一等地のビルにオフィスを構えるケースが多い。たとえば、東京駅周辺の丸の内や有楽町界隈。さらには千代田区や港区といった都心の中心地だ。こうした会計事務所が手掛ける仕事内容は、会計・税務をベースにしたコンサルティングが中心で、財務戦略や事業再生・再編、M&A、事業承継・相続対策、資産運用、国際進出、外資系企業の会計サポートなどを幅広く展開している。
従 来、このビジネス領域は、国際的な会計コンサルティング会社であるビッグ4(EY、DL、PwC、KPMG)の独壇場だったが、今ではその市場を目指して 一部会計事務所が業務を拡大している。給与も大企業並み、ポジションによっては若くして1千万円プレーヤーもいる。将来は独立していくもよし、独立せずに そのまま経営陣の一角を担っていくもよし。

最近目につくのが、ベンチャー企業などの最高財務責任者(CFO)や管理部の責任者へと、一般企業で活躍する人材も少なくないことだ。企業の経営陣の一角を担っていくには、財務・会計知識は不可欠。会計は企業経営の共通言語であり、これが理解できているということは、経営陣としてのある一 定ラインはすでに満たしているといえるわけだ。そのアドバンテージを生かして、会計事務所から一般事業会社へ脱皮する。こうした新時代の会計事務所、税理士法人だが、その実態を知ってもらおうとする動きも少なからず出てきた。大学、大学院などに積極的に情報発信し、自社の 業務内容を広く知ってもらおうという動き。さらには、会計人を目指す潜在層を増やそうと、会計事務所の魅力を伝えようという動きだ。中には、インターンを 通じて、業務内容を知ってもらおうという取り組みも出てきている。
従来と違った新たな会計事務所の姿を知れる機会とあって、学生の間でもこうした取り組みに関心が高まっている。

著者: 宮口貴志

KaikeiZine編集長

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は租税研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャーとしても活動。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
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