今回は、中東の国からの発電設備プラント工事で、現地の王族関係者への受注謝礼金を現地のコンサルタント会社へのコンサルタント料に仮装して支払っていたことから、王族関係者への交際費等として課税された事例を紹介します。

≪事例の概要≫

調査対象法人は空調関係の設備工事を行う会社で、近年では特に中東方面での海外建設工事の受注に力を注いでいる。今回、中東方面の国々での建物建築等に付随する設備工事の入札工事に参加することになった。

発電設備プラント工事は数年に渡る長期工事となる場合が多く、現地で要する工事関係費用は日本から仮払いで送金し、海外の現場事務所で支出した費用について毎月支出明細と証憑書類を日本本社の海外事業統括部に送付し、内容をチェックしている。現地での状況報告や指示を仰ぐ際は、その都度ファックスで連絡を取り合っていた。

その後、税務調査が行われ、本社海外事業統括部と海外の現場事務所とのやり取りの記録を確認するため、記録の保管場所で現物確認調査を行ったところ、支出先不明の多額のラウンド数字が記載されたファックスメモが見つかった。

その金額に相当する支出先が、現地からの支出明細に記載がなかったため、海外事業統括部で現地とやり取りした担当者に面接し、事実関係を確認した。

担当者からは、海外事業統括部から現地のコンサルタント会社に直接支払ったコンサルタント料であるとの説明があったが、コンサルタント会社からの報告書等の書類は保存していないとのことであった。

そこで、調査担当者は現地コンサルタント会社に関する情報をダン・レポートで入手して確認したところ、活動実態のない休眠状態の会社であることが判明した。

 

以上を基に担当者に説明を求めたところ、以下の申し立てがあった。

  • ・中東の国々では王族関係者がその国の政府関係者に強い影響力があり、今回は各国企業との受注競争となったため、王族関係者Aに口利きをお願いした。
  • ・Aがどのように対応したかは不明であるが、結果的に受注に成功したため、同人と謝礼金について交渉したところ、振込先を現地コンサルタント会社とするコンサルタント契約書にサインし、コンサルタント料として支払ってほしい旨の要求があった。
  • ・現地では、発注元の政府関係者が度々工事の進捗状況をチェックしており、嫌がらせ等で工事がスムーズにいかない場合もあるため、Aの要求に応じた。コンサルタント会社へは3回に分けて支払った。

 

以上の事実関係から、コンサルタント料の実態はAへの受注謝礼金であり、同人への交際費等の支出であると認定し、全額交際費課税の対象とした。

また、現地の王族関係者への受注謝礼金を、コンサルタント会社へのコンサルタント料に仮装して支払っていたため、重加算税を賦課した。