今回の実力派会計人は、税理士の木下勇人氏と木村英幸氏。木下氏が税理士法人を立ち上げたのは12年ほど前。現在は、講師として税理士向けに相続セミナーを開催するなど業界を牽引する税理士の一人だ。木村氏は大手税理士法人にて、相続や事業承継コンサルティングに従事。2021年5月、同法人に参画。つくば支店を新たにオープンさせ、ネットワークを拡大し続けている。今回は、これからの時代に競合ではなく協業をしていくべきだと語るお二人のこれまでのキャリアと出逢い、そして今後の展望に迫ります。(取材・撮影:レックスアドバイザーズ 市川)
公認会計士・税理士を目指したきっかけ
45歳でこの世を去った父が教えてくれたこと
木下:実家は肉屋で、正直言って事業が上手くいっていませんでした。この頃の体験が、どうしたらお金を稼げるのかと考えるきっかけにはなりました。そして19歳、大学1年生のときに父親が45歳で亡くなります。
事業は兄が継いでくれることになったのですが、その時に発生した相続手続きが結構大変で。相続一つとっても、役所、法務局、銀行に行って、とても面倒なものでした。そこで「こんなに面倒なのだから、相続は仕事になるのかもしれない、相続に関する仕事をしたい」という気持ちが生まれました。そして見つけたのが税理士の仕事です。
どのみち、税理士になるのだからその前に色々な資格を受けようと宅地建物取引士や不動産鑑定士の試験も受け、結局公認会計士を目指すことにしました。28歳で合格後は有限責任監査法人トーマツへ入所しました。
こちらに入所を決めたのは、私たちがいまメイン事業としている事業承継コンサルをやっているのが名古屋では当時トーマツしかなかったからです。同期は20人いて、私だけ税務コンサルをさせてもらい、5年後に名古屋で独立をしました。初めから相続をやりたいとはっきり伝えていたので、監査は資格の最低要件を満たせるように調整して行かせてもらいましたね。
氷河期で一般企業に内定をもらうも税理士を目指す
木村:私は実は、もともと税理士になる気は全くなくて、大学4年の就職活動時期には事業会社をたくさん受けていました。厳しい職場であればとにかく成長できるんじゃないかと、生命保険業界とか、不動産販売とか、そういったところでバリバリ営業をやってみたかったのです。営業で売上を上げれば儲かるし、厳しい方がやりがいもあると思って希望して内定ももらったのですが、当時は氷河期。親からも反対されて手に職をつけたほうがいいと言われたのをきっかけに、資格を目指すことにしました。公認会計士、税理士とありますが、1科目ずつ取っていく税理士の方が合格しやすいと考えて税理士を目指しました。
大学卒業後は勉強しながら、地元つくばの昔ながらの会計事務所で基礎を学んだあと、国際税務専門の会計事務所に入所しました。ここでは試験勉強と両立ができたのは大変有難かったのですが、顧客が海外のクライアントが多くほぼメールでのやりとりでした。
私はより人に深く関わりたいと思うようになったのと、ちょうど30歳くらいで税理士試験に合格したので、資産税に強い事務所ならもっと人に接することができると思い、税理士法人おおたかへ就職しました。その後、結婚し子どもが生まれるタイミングで独立し、木下と一緒になったのは、今年2021年5月のことです。

初めは、講師と生徒の関係だった二人の出逢い
お二人は、最初はどこでお知り合いになられたのでしょうか。
木下:数年前、独立をして8年目の頃に私が話していた研修を木村が聞きに来てくれました。ちょうどそのときは偶然、少人数のセミナーだったこともあり、受講生一人一人と話しをする機会がありました。木村は、事業承継をメインにやっていると言っていたので、何かあったら提携してくださいと伝えました。
私は、この頃42歳だったのですが拠点を名古屋から東京に移していました。理由は、父の年齢に追いつく45歳までには何かを変えたいと思っていたから。新しいことにチャレンジをするにあたり、自分にないものを埋めてくれるようなパートナーもいたほうがいいと考えていたので、もし一緒にやるなら、事業承継の案件をたくさん経験している方と一緒に、と思っていました。
木村:私はもともと研修が大好きで、色々なセミナーに参加をしていました。木下の研修にもよく参加していたのですが、通常は30、40人来ていて講師と話せる機会はありません。でも、そのときはたまたま10人ほどで木下と話せたのです。
提携してくださいと言われたときは社交辞令なのかなと思ったのですが、改めてお話をいただいたときは驚きました。
私自身、事業承継が得意でしたのでいずれはこの分野で組織を拡大させていきたかったのですが、実際につくばで資産税ができる会計事務所はほとんどありませんでした。
そんなころに木下から声を掛けてもらい前向きではあったのですが、独立したばかりだったこともあり、自分の力でも試してみたいと結局OKを出すまでに1年半くらい待たせてしまいました。木下はその間も、気長に待っていてくれて。今後のビジョンに共感をしたのも大きいのですが、実際のところお酒の趣味が合うところが大きかったですね(笑)。

業界を先導させるレディンググループを目指して
今後の展望を教えて下さい。
木村:現在は、支店を作るかどうかを考えています。名古屋が本店で、東京、つくばと展開していますが、当法人は生命保険会社との繋がりが強く、その繋がりで事業承継を依頼されることが多いのです。そして全国展開の要望も多くいただいています。
今はできるだけ対応していますが、私と木下だけでは限界があります。一方、事業継承の案件を引き受けたいけれど、ノウハウがなく困っている地方の税理士の先生方も多くいらっしゃるように感じています。そのため、私たちがこれまでの経験で得たノウハウをお伝えしながら共に発展できるようにしていきたいと考えています。
具体的には、沖縄、福岡、大阪、名古屋・東京に我々とは別にもう1つずつ、仙台、北海道にコアになる事務所がほしいですね。「レディング」になって欲しいわけではなくて、事務所名は変えずにレディンググループとして一緒にやってほしい。チェック体制も整えて、その下に加盟店を加えたい。支店になってもならなくてもいいのです。
支店になれば、情報共有がしやすいですし、同じ方向性で仕事がしやすいとは思います。しかし、私たち二人が組織作りに長けているかというと、そういうわけでもない。だから正直にいうと、支店にしなくても、コアになる事務所の加盟店になってもらえたらいいかと思っています。
木下:また今後はM&Aや不動産関係もやっていきたいと思っています。一人ではできないことが、組織になったことでパワーアップし展開できるようになったというイメージです。
また私たちは、株式会社HKキャピタルという会社を作っています。この会社は不動産の売買仲介、コンサルなど不動産周り全部と、M&Aの仲介その他事業コンサルを主な柱にする予定です。
相続をやっていれば不動産に関する相談も出てきます。ほとんどの会計事務所のマネタイズは相続税の申告と不動産売買ですよね。懇意にしているM&Aの仲介会社が「会計事務所をM&Aのフランチャイズにしたい」と考えていて、会計事務所のフランチャイズ化するのを支援する予定でいます。
この提携をした理由は、私たちが事業承継対策で展開予定のサービスと同じ展開であったからです。私たちも、この会社も事業承継×M&A。ただ、この会社はM&Aメイン、私たちは事業承継メインです。そして、この会社の全国展開に歩調を合わせて我々も展開した方が相乗効果が高いと考えています。
会社を子どもが継げば事業承継ですし、誰も継ぎ手が居なかったらM&Aになりますし、士業にとってのこれからの時代は競合ではなく協業をしていく時代です。それは、結果としてクライアントのためにもなると思っています。
事業承継の課題として企業の永続性が本当に大切だと認識しています。私自身、兄がいてくれたので父の事業を残すことができましたが、父の年齢を超えて、自分が世の中に残せるもの、クライアントに貢献できることは何だろうかとさらに考えるようになりました。利益追求できる組織作りのお手伝いを、そんな事業参謀になれるようこれからも動いていきたいです。
【編集後記】
今後は、グループ化を目指していると夢を語られたお二人。さらに拡大をされていくのですね。木下先生、木村先生ありがとうございました!
税理士法人レディング
●創業
2009年
●所在地
【東京事務所】東京都千代田区六番町13-1 ハイツ六番町501
【名古屋事務所】愛知県名古屋市中区栄5丁目27-12
【つくば事務所】茨城県つくば市東新井2-1 KMS.S-2ビル 404
●理念
「人」「想い」「財」をつなぎ、幸せの連鎖を生み出す存在へ成長する。
「人として当たり前のこと」を「当たり前にできる」愚直な存在になる。
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