■応募や採択の傾向

応募数や採択数を業種別に見ると、製造業、宿泊業、飲食サービス業、卸売業、小売業が多くなっています。

事業再構築補助金第2回公募の結果について(事業再構築補助金事務局)より

第1回も同様の傾向ですが、比べると製造業が若干減って宿泊業、飲食サービス業が増えています。緊急事態宣言特別枠の応募数が増えていますので、営業自粛や外出自粛要請の影響を受けて特別枠で申請する宿泊業、飲食サービス業が増えたと考えられます。

また、応募金額別の件数は次のようになっています。

事業再構築補助金第2回公募の結果について(事業再構築補助金事務局)より

これを見ると、500万円以下が最も多くなっています。緊急事態宣言特別枠は、従業員数によって補助上限額が次のようになっています。

従業員数 5人以下:500万円、従業員数6~20人:1千万円、従業員数 21人以上:1500万円

従業員数が5人以下の小規模の事業者が500万円以下の申請をしているケースが最も多いことが分かります。「事業再構築」と聞くと大きな企業が取り組むように聞こえるかもしれませんが、多くの小規模事業者が取り組んでいます。また、緊急事態宣言特別枠の上限額である1千万円以下や1500万円以下も応募件数が多くなっています。

通常枠の補助上限額である6千万円も件数が多くなっており、それを超える金額の応募はわずかとなっています。

なお、通常枠の補助上限額は、第3回目では従業員数によって次のように定められています。

従業員数20人以下:4千万円、従業員数21~50人:6千万円、従業員数51人以上:8千万円

そのため、第3回では、6千万円の応募件数の山はなだらかになると想定されます。

応募金額別の採択率は公開されていませんが、次のように採択金額の分布は示されています。

事業再構築補助金第2回公募の結果について(事業再構築補助金事務局)より

応募金額の分布と採択金額の分布を比べると、金額の大小による大きな違いは見当たりません。「金額が小さいから採択されやすい、金額が大きいから採択されづらい」ということはないと言えるでしょう。ただし、応募金額に対してそれを上回る収益を確保できる見込みがあるか、という投資対効果は見られます。

応募金額の分布と採択金額の分布の傾向は大きくは変わらないものの、1501万円~3千万円の層が、応募金額では「23%」に対して採択金額では「17%」と低くなっています。この層は、1500万円超なので緊急事態宣言特別枠ではなく、3千万円以下なので金融機関の確認書も必要ない層です。金融機関の確認書があれば有利ということではないと思いますが、金融機関が確認書を出すには内部で確認をします。そのため、補助金申請の締め切りよりも早く金融機関に提出する必要があり、場合によっては金融機関から質問や指摘などがあります。そういった過程で事業計画書がブラッシュアップされていきます。そういった意味で、この層では事業計画書の精度があまり高くなかった申請が相対的に多かったのかもしれません。