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請求人の取締役が使用人兼務役員に該当しないとされた事例【法人税/一部取消し】元国税審判官が解説 公表裁決から学ぶ税務判断のポイント(第30回)

同族会社の同族グループ以外の取締役について、同社の機構改革以前は、営業部の部長職の地位を有しており、同改革以後は、請求人の営業部長の役職に就いていないことから、同改革以前の期間において支給された賞与については、使用人兼務役員に対する使用人職務分として、請求人の所得金額の計算上、損金の額に算入されるという判断が下されました。

国税不服審判所令和2年12月17日裁決(国税不服審判所HP)

1.事実関係

本件は、審査請求人(請求人)が、取締役に支給した給与の一部を使用人兼務役員に対する使用人としての職務に対するものとして損金の額に算入したことについて、原処分庁が、当該給与は、使用人兼務役員に対する使用人としての職務に対するものに該当しないことから損金の額に算入されないとして、法人税等の更正処分等をしたのに対し、請求人が、原処分の全部の取消しを求めた事案である。

請求人は、昭和38年8月設立の水産食料品の製造、加工及び販売等を業とする取締役会設置会社であり、その発行済株式の全てを代表取締役Eが保有する同族会社(法法2⑩)である。請求人の取締役には、Eのほか、G及びH(本件取締役)が就任していた。本件取締役は、昭和59年1月使用人として入社し、その後製造部工場長(平成3年)、営業部次長(平成5年)、営業部部長(平成9年)に昇格し、平成16年7月28日に取締役、平成29年2月1日の人事異動で常務取締役に就任した。

請求人は、原処分に係る各事業年度(本件各事業年度[1])において、本件取締役に対し、毎月払いの給与(月給)と、年に2回、使用人の賞与支給時期と同時期に賞与を支給しており、平成23年7月期から令和元年7月期までの期間は、本件取締役に対し、毎期12月に270万円及び6月に310万円の合計580万円の一定額を支給している(本件賞与)。


[1] 公表裁決本文には本件各事業年度がどの期間を指すかは具体的に明示されていないが、開示が省略されている別表4のタイトルが「本件各事業年度の法人税の所得金額等」となっているので、同表を見れば具体的な期間が判明すると思われる。ただし、本文の内容からは、平成27年4月1日の請求人の機構改革の前後を含む期間と推察できる。

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