4.審判所の判断
(1) 使用人兼務役員該当性について
①「使用人としての職制上の地位」について
請求人では、本件各事業年度において、機構上、使用人としての職制上の地位として「部長」職が明確に定められていたところ、本件取締役は、平成27年3月31日までは、請求人の営業部の部長職の地位を有しており、他方、同年4月1日の機構改革以後は、請求人の営業部長の役職に就いておらず、請求人の使用人としての他の職制上の地位も有していなかったと認められる。そうすると、本件取締役は、本件各事業年度において、平成27年3月31日までの間は、請求人の使用人としての職制上の地位を有していたが、同年4月1日以後は、これを有していなかったと認められる。
②「常時使用人としての職務に従事」について
本件取締役は、請求人の他の取締役と異なり、もともと使用人として、請求人の主な取引先に係る一連の営業活動に従事していたものであり、このような職務内容は、取締役就任後も大きく変わることはなく、本件各事業年度においても、少なくとも平成27年3月31日までの間は、同様の職務に従事し、かつ、常勤で勤務していたことが認められる。
③「常務その他これらに準ずる職制上の地位」について
本件取締役は、平成27年4月1日以後は、請求人の使用人としての職制上の地位を有していないから、これ以後の期間は、その「常務」該当性を検討するまでもなく、請求人の使用人兼務役員に該当しない。
(2) 本件賞与の使用人職務分該当性について
本件取締役は、上記(1)のとおり、本件各事業年度のうち平成27年3月31日までの間は、使用人兼務役員に該当するのであって、請求人に雇用された後、平成16年7月28日の取締役就任時を含め、平成27年3月31日までの間に、請求人と本件取締役との間の雇用契約が解消されたことをうかがわせる証拠もない。そして、本件取締役の実際の職務内容及びその従事状況をみても、取締役就任前後でその内容が大きく変わることはなく、本件各事業年度のうち少なくとも同日までの間は、本件取締役は、請求人の使用人としての職務に日常的に従事していたと認められるのであるから、雇用契約に基づきその職務に対する対価を受け得る立場にあったといえ(民法第623条参照)、しかも、その職務のほとんどは、使用人としての職務であったと認められる。
(3)まとめ
以上のとおり、本件取締役は、本件各事業年度において、平成27年3月31日までの間については請求人の使用人兼務役員に該当するが、同年4月1日以後については使用人兼務役員に該当しない。
そして、本件賞与のうち、請求人が平成26年12月に支給した270万円は、本件取締役が使用人兼務役員に該当する平成27年3月31日までの間に支給されたものであるから、使用人兼務役員に対する使用人職務分として、請求人の所得金額の計算上、損金の額に算入され、他方、同年4月1日以後に支給された額については、使用人兼務役員に対する使用人職務分には該当しないから、損金の額に算入することはできない。



