中小監査事務所の業界地図シリーズ。第4回目は売上6億円を超える規模の八重洲監査法人、新創監査法人、東邦監査法人の3法人を取り上げます。* 2021年8月末時点で確認できたデータに基づいています。

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10.八重洲監査法人

(1)基本情報

* 「業務及び財産の状況に関する説明書類(第51期)」による(*1)。以下同じ。

(2) 沿革

* 「業務及び財産の状況に関する説明書類(第51期)」より引用

(3) 売上

* 千円単位(切捨)にて表記(以下、数字の表記は切捨)

2020年6月期の業務収入は6億75百万円となり、前期の8億52百万円と比べて1億77百万円の減収(△20.8%)となっていますが、2019年度は決算期変更に伴う15カ月決算だったことも影響しています。

八重洲監査法人の売上は全て監査証明業務によるものとなっており、非監査証明業務は行っていません。監査証明業務に特化した監査法人であると言えます。

(4) クライアント数

① 監査クライアント数

* 「業務及び財産の状況に関する説明書類(第51期)」より引用

② 非監査クライアント数

非監査証明業務に関するクライアントはありません。

(5) コメント

八重洲監査法人は1969年12月に設立された監査法人八重洲事務所を母体とし、その後1997年に現在の名称に変更を行った監査法人です。東京都千代田区に事務所を構えており、かつては岐阜、京都及び札幌に従たる事務所を有していましたが、現在ではそれらは廃止され、他の従たる事務所は有していません。

2020年6月期の業務収入は6億75百万円であり、中小監査事務所の中で上位に位置しています。監査クライアントとしては1845年創業で紙・パルプ卸売業界大手の日本紙パルプ商事株式会社、1936年創業でガラス業界大手のセントラル硝子株式会社など、歴史のある上場企業を抱えています。

提携先のKreston Internationalは、シリーズ第1回でご紹介したようにアーク有限責任監査法人とも提携している英国の大手国際会計事務所であり、八重洲監査法人はKreston Internationalとの間で国際業務の推進、関与先の紹介、監査ツール・データベースの利用及び教育研修プログラムの参加や情報提供などを行っているようです。

なお直近の株式公開企業に対する監査契約の状況について、2019年及び2020年いずれも新規上場企業は担当していないようです。(*2)