今月10日に公表された自民党の令和4年度税制改正大綱。今年、税の話題が世間を賑わせただけあって、多くの人が注目していました。しかし、いざフタを開けてみると意外と小ぶりな内容に。今年後半、メディアがさんざん煽ったあの改正も、空振りで終わりました。今回から数回に分けて、令和4年度税制改正大綱のポイントをお伝えします。

■改正①住宅ローン控除

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)が今回も税制改正の対象となりました。制度自体は令和5年1月1日以降も使えます。令和7年12月31日まで延長されたのです。ただその一方、優遇度合は下がります。特に「控除率が1%から0.7%に」は大きな痛手ではないでしょうか。

  • ●控除率が「1%」から「0.7%」に

これまで、控除額は「年末ローン残高×1%」でした。しかし、昨今、低金利が続いていることから、住宅ローン控除が逆ザヤ状態となっています。このため、改正により、控除額は「年末ローン残高×0.7%」となりました。

【引用元】「令和4年度税制改正大綱」(自民党)

  • ●借入限度額が引き下げに

借入限度額も引き下げになりました。これまでの制度では、最大5千万円が借入限度額です。しかし、令和4年1月1日以降の入居分は、この上限が下がります。

一般住宅だと、新築の借入限度額は最大3千万円、中古とリフォームの借入限度額は一律2千万円です。一方、認定住宅だと、新築ならば控除額は高めです。しかし、認定住宅の中古は一律3千万円となります。

なお、一般住宅の中古とリフォーム、認定住宅の中古については、控除期間が一律10年間となっています。

  • ●地球環境にやさしい家は優遇

優遇の度合いが下がったものの、それでも耐震性や省エネ、バリアフリーが条件に適う認定住宅や、エネルギー自給自足型のZEH水準・省エネ基準を満たす住宅は借入限度額が優遇されています。

イメージとしては、「耐震性や省エネ、バリアフリーで一定条件を満たす住宅については、優遇する」といった具合です。現在、国をあげてカーボンニュートラルに注力しているわけですが、その姿勢はここでも表れているわけです。

  • ●所得要件が3千万円から2千万円に引き下げ

所得要件も厳しくなりました。現行の制度では合計所得金額が3千万円以下なら対象となります。しかし、令和4年1月1日以降入居分については、合計所得金額が2千万円以下でないと、この控除を受けられません。

  • ●合計所得金額1千万円以下なら面積要件緩和

令和3年度税制改正で住宅ローン控除の面積要件が引き下げられました。合計所得金額1千万円以下の人は、40㎡以上50㎡以下の家を購入した時も住宅ローン控除を受けられます。本来、令和4年12月末で終わりの予定でしたが、こちらも令和7年12月末まで延長されます。

なお、新制度では、令和5年12月末以前に住宅確認を受けたものが対象となります。