■個人・法人における簿外経費の取扱い

「これも経費だ。確定申告書に書いてないだけ」と、税務調査で納税者が口で経費を主張することがあります。正しく記帳するでもなく、証憑書類を保存するでもなく、です。

このときの立証責任は税務署側にあるわけですが、証拠探しや反面調査に手間や時間がかかります。また、まじめに記帳や申告をしている納税者との公平性も保てません。こういった状況を解決すべく、簿外経費についても改正が行われました。

  • ●簿外経費は認めない

仮装隠ぺい行為をしながら確定申告をしたり、あるいは無申告だったりした年分や事業年度の必要経費や損金は、原則認められません。ただし、次のケースは除きます。

  • ・帳簿や証憑書類で内容を確認できる
  • ・税務署の反面調査で確認できる

要は「帳簿等で証明できない支出は税法上の経費にならなくなる」のです。

●対象者

個人も法人も対象です。個人は、次のように「事業を継続的に営んでいる人」が対象となります。

  • ・事業所得・不動産所得・山林所得のある人
  • ・雑所得があり、前々年の雑所得の収入が年300万円を超える人

なお、個人は令和5年分から、法人は令和5年1月1日以降に始まる事業年度から適用となります。

■税理士になる条件は緩和

税理士になるべく、専門学校や大学院で勉強をがんばっている方は多いかと思います。今回の改正はこういった方には朗報かもしれません。というのも、負担が減るからです。

【引用元】自民党「令和4年度税制改正大綱」P83