12月10日に与党の令和4年度税制改正大綱が決定したが、その中に税理士制度の見直しも示され、デジタル社会における税理士事務所の在り方が盛り込まれた。今回の見直しは、税理士会からの強い要望により実現したものだが、これにより税理士業界は大きな転換点を迎えるのではないかと感じている。

今回、与党税制改正大綱に盛り込まれた税理士制度の見直しの一つに、「税理士業務のICT化の推進に努めることを明確にする」ということがある。以下、その内容だ。
(1) 税理士制度について、次の見直しを行う。
(1)税理士の業務の電子化等の推進
① 税理士及び税理士法人は、税理士の業務の電子化等を通じて、納税義務者の利便の向上及び税理士の業務の改善進歩を図るよう努めるものとする旨の規定を設けることとする。
② 税理士会及び日本税理士会連合会の会則に記載すべき事項に、税理士の業務の電子化に関する規定を加えるとともに、この規定についてその会則を変更するときは、財務大臣の認可を受けなければならないこととする。
(注)上記②の改正は、令和5年4月1日から施行する。
上記項目については、日本税理士会連合会(日税連)の「税理士法に関する改正要望書」に盛り込まれたものがそのまま反映されたもので、日税連制度部では、「今回の要望の幹となる項目」と重視している。
というのも、日税連では、加速する経済社会のデジタル化の流れに税理士が先頭に立って対応していかないと、将来的に税理士の使命を全うできなくなる可能性があり、逆に国が進める税制・税務行政のデジタル化対応を遅らす足枷になるかもしれないと強い危機感を抱いているのだ。
税理士法第1条には、「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする」と規定。税理士がその職務を行うに当たり、独立した公正な立場を堅持して、納税義務者の信頼に応え、租税に関する法令に規定された納税義務を適正に実現するように努めることが“税理士の使命”であることを定め、税理士法の解釈の基本原則を明らかにしている。