1.売上ランキング
(1)売上


(単位:億円)

* 数字は四捨五入で表記
* 円貨建て数値は2021年12月末の為替レート(1ドル=115.02円)にて換算
なお換算計算の関係により、合計が合わないケースがある
1位は502億ドル(5兆8千億円)を記録したDTTで、その後PwCが451億ドル(5兆2千億)、EYが400億ドル(4兆6千億円)と続き、最後がKPMGの321億ドル(3兆7千億円)となっています。
DTTは2020年度に引き続き1位となっており、その他の順位も変わっていません。
(参考 2020年度売上)
(単位:億ドル)

売上規模はDTTがやや突出しており、DTTを基準とするとPwCは9割、EYは8割、KPMGは2/3程度の規模となっています。BIG4と一括されてはいるものの、数値を眺めると実態には差があるようです。
(2)サービスライン別売上


(単位:億円)

* DTTの「コンサルティング」はConsulting、Financial Advisory, Risk Advisoryの合計
* EYの「コンサルティング」はConsulting、Strategy and Transactionsの合計
①監査・保証業務
1位は171億ドル(2兆円)を記録したPwCです。それに続くのがEYで136億ドル(1兆6千億円)、3位がKPMGで115億ドル(1兆3千億円)、そして最後にDTTで105億ドル(1兆2千億円)です。いずれも100億ドルを超える規模となっています。
監査・保証業務ではPwCが他を引き離しており、日本円で2兆円に迫ります。一方、売上全体で首位のDTTは、この分野ではPwCの6割程度にとどまり、EYとKPMGにも後れを取っています。
なお日本に目を向けると、監査業務収入ではEY新日本有限責任監査法人が887億円(2021年6月期 *2)となっています。これは2021年度、日本の監査法人でトップの数値ですが、BIG4との比較で見るとPwCの監査・保証売上2兆円の1/20以下に過ぎません。
②コンサルティング
1位は310億ドル(3兆6千億円)を計上したDTTです。そのあと、差が開いた170億ドル(2兆円)でPwCが2位となり、3位EY159億ドル(1兆8千億円)、4位KPMG137億ドル(1兆6千億円)と続きます。
コンサルティングではDTTが圧倒的に強く、他3事務所の倍近い売上を誇っています。この分野ではDTTの1強とも言え、コンサルティング売上がDTTをけん引しているようです。
③税務・法務
1位は110億ドル(1兆3千億円)のPwCとなり、その後にEY105億ドル(1兆2千億円)、DTT89億ドル(1兆円)、KPMG70億ドル(8千億円)と続きます。
税務・法務では1位PwCと2位EYの差は5億ドルであり、コンサルティングや監査・保証に比べると大きな差はついていないようです。ただしここでもKPMGは4位であり、PwCの2/3ほどに留まります。
サービスライン別の売上からはBIG4それぞれの特徴がうかがえます。
売上規模最大のDTTはコンサルティングに圧倒的な強みを持ちますが、それ以外の監査・保証、税務・法務では3~4位と他事務所の後塵を拝しています。
2位PwCは監査・保証、税務・法務でともに1位、コンサルティングで2位となっています。どのサービスラインでもトップクラスに位置しており、バランスが取れた売上構成と言えます。
3位EYは監査・保証、税務・法務で2位、コンサルティングは3位と、こちらもPwC同様、売上がうまく分散されていますが、どのサービスでもPwCの後ろに位置しています。
4位のKPMGはコンサルティングと税務・法務ではともに最下位となり、また監査・保証ではDTTを上回ったもののPwC、EYには後れをとり3位に位置しています。すべてのサービスライン売上でトップとはかなり差が開いてしまっており、BIG4では最も規模が小さくなっています。
(3)地域別売上


(単位:億円)

* EYの「ヨーロッパ、中東、アフリカ」はインドを含む
①アメリカ大陸
全体売上トップのDTTが252億ドル(2兆9千億円)となり、1位となっています。2位はPwCで183億ドル(2兆1千億円)を計上していますが、トップとは70億ドル(8千億円)の差があり、7割強にとどまります。EYは177億ドル(2兆円)となり、3位ではあるもののPwCとの差は僅かなものとなっています。最後がKPMGの119億ドル(1兆4千億円)で、トップのDTTはもちろん、PwCとEYにも大きな差をつけられています。
アメリカ大陸では日本円で3兆円近い規模を誇るDTTが圧倒的に強く、他のBIG4に対して優位に立っています。2位PwCと3位EYにはさほど差がないものの、4位KPMGはDTTの半分以下、PwCとEYの2/3ほどと、この地域ではBIG4間での差がかなり開いているようです。
②ヨーロッパ、中東、アフリカ
全体売上2位のPwCが180億ドル(2兆1千億円)を記録し、ヨーロッパ、中東、アフリカでは1位となっています。続いてDTTが167億ドル(1兆9千億円)で2位、EYが157億ドル(1兆8千億円)で3位と続き、最後にKPMGが143億ドル(1兆6千億円)となっています。
ヨーロッパ、中東、アフリカではPwCが売上1位となり、ここでもKPMGは4位となっています。ただしPwCとKPMGの差は37億ドル(4千億円)であり、アメリカ大陸ほどのギャップはありません。
なおEYの数値にはインドでの売上が含まれていることからその分だけかさ上げされており、次のアジア・太平洋地域では下振れすると考えられます。
③アジア・太平洋
ここでもPwCが1位となり、89億ドル(1兆円)を記録しています。続いてDTTが85億ドル(1兆円)で2位、EYが66億ドル(8千億円)で3位、KPMGが60億ドル(7千億円)で4位となっています。
アジア・太平洋では1位PwCと2位DTTの差は4億ドルであり、僅差となっています。一方、3位EYと4位KPMGは上位の7割程度となっており、この地域ではPwCとDTTの2強と言えそうです。
地域別で見るとDTTはアメリカ大陸で断トツの売上を誇り、他の2地域でも2位を確保しています。PwCはヨーロッパ・中東・アフリカ地域、及びアジア・太平洋地域でDTTを抑えて1位、アメリカ大陸では2位となっています。EYはアメリカ大陸こそ2位PwCと大きな差はないものの、全地域で3位にとどまり、KPMGはいずれも最下位となっています。
続いて人員数のランキングを見てみます。



