2.人員数ランキング
(1)総人員数

人員の面から最も規模が大きいのはDTTであり、全世界で35万人近くを雇用しています。それに続くのがEYで31万人、3位PwCが30万人、そして4位KPMGが24万人となっています。
DTTを基準とすると、EYが90%、PwCが85%、KPMGが70%となっています。売上同様、人員規模でもBIG4の間にはかなりの差があります。
売上のランキングと比べるとPwCとEYは順位が入れ替わっているものの、1位DTTと4位KPMGは変わりません。サービスライン別で見たように、BIG4の主な収益は監査、コンサルティング、税務、法務であり、これらのビジネスは知識集約型の産業ではあるものの、専門知識を有する人材が必要という点では労働集約型の特徴も併せ持っており、人員数と売上の間に一定の関係性があることが分かります。
なおDTTの人員規模を日本企業と比べてみると、トヨタ自動車の従業員数37万人(*3)、総合電機の日立製作所35万人(*4)と遜色のない数字となっています。プロフェッショナル集団である会計事務所がこれらの巨大製造業と肩を並べるほどの人員を抱えていることから、BIG4の大きさが分かるのではないでしょうか。
続いてパートナー等、階層別の人員数を見てみます。
(2)階層別人員数

* PwCとKPMGの「パートナー・プリンシパル」はPartnersの人数
①パートナー・プリンシパル
全体の人員数同様、1位はDTTで1万4千人、2位がEYで1万3千人、3位PwCが1万2千人、4位KPMGが1万1千人となっています。いずれも1万人を超えていますが、KPMGはDTTの8割となっています。
②従業員
こちらも順位は変わらず、1位DTT、2位EY、3位PwC、4位KPMGとなっていますが、4位KPMGは1位DTTの7割弱にとどまります。パートナー・プリンシパルに比べると、従業員数の面ではかなり差が開いています。
階層別の割合を見ると、パートナー・プリンシパルの全体に占める割合はDTT、PwC、EYが4%に対してKPMGは5%とやや高めになっています。

(3)女性比率

人員数全体に対する女性比率ではDTTが45%とやや低く、PwC、EY、KPMGは48~49%となっています。BIG4の間で多少の差はありますが、いずれも女性は半分弱を占めています。
(4)パートナー、プリンシパルの女性比率

* KPMGは2020年9月末時点における「Leadership (partners and other senior directors)」の数値
最も女性比率が高いのはKPMGの26%であり、以下DTT 25%、EY 23%、PwC 22%と続きます。
女性比率全体では49%と最も高いPwCが22%で4位となり、逆に全体に占める割合が45%と低めであるDTTがここでは25%と高くなっているのは興味深い点です。
なお日本に目を向けると、例えばPwCジャパングループにおける女性比率(2020年6月末時点)は下記となっています。(*5)

有限責任監査法人トーマツの監査・保証事業本部における女性比率は、パートナー・マネージングディレクターが10%、シニアマネージャー・マネージャーが20%となっており(2021年5月期実績)、2025年の目標としてそれぞれ14%、24%まで高めることを掲げています。(*6)

日本のプロフェッショナルファームや監査法人に比べると、国際会計事務所における女性の経営層参加率はおしなべて高い数値となっています。とはいえ全体での女性比率が半分弱であるのに対し、パートナー等は1/4程度にとどまっているのも事実です。BIG4いずれもダイバーシティに言及する中でジェンダーを重視している様子がうかがえ、今後も積極的に取り組んでいくものと思われます。
終わりに

売上、人員数の点から2021年の国際会計事務所ランキングを見てきました。
BIG4と言っても売上規模やサービスライン別売上の構成、人員数等、数字を見ていくとかなりの違いがあることが分かります。
2021年はDTTが頭一つ抜けていましたが、2022年以降もこの傾向が続くのか、それとも他の3事務所が追い上げるのか、今後もウオッチしていきたいと思います。
【参考・出典】
*1 「令和3年版モニタリングレポート」、公認会計士・監査審査会
*2 「業務及び財産の状況に関する説明書類(第22期)」、EY新日本有限責任監査法人
*3 「有価証券報告書(2021年3月期)」、トヨタ自動車株式会社
最新記事はKaikeiZine公式SNSで随時お知らせします。




