2.市場とは

IPOをするということは、株式が取引される市場に上場するという意味合いがあります。ここでいう市場はいくつか種類があります。

東京証券取引所、ニューヨーク市場エリアだけでも世界中にあります。東京証券取引所の中でも2022年3月末でマザーズ、JASDAQなど、2022年4月以降は市場の在り方が再編されグロース、プライムなどに分かれます。

出典:東京証券取引所HP

 

それぞれの市場は上場できる基準が異なります。審査は形式基準(絶対クリアしないといけない最低値のイメージ)とより深い実態を審査していく2つの要素があります。

形式基準は市場の差をイメージしやすいでしょう。市場の差というのは、上場の開始や維持に関する難易度の差のことです。より難しい市場であれば、現在はより凄いと感じるところもあるでしょうが、ブランディングという意味ではどこかで上場さえしていれば晴れて「上場会社」というネーミングになるわけであり、あまり大差を感じるところはないでしょう。

資金調達の効果といった意味では、プロ向け市場の東京プロマーケットとその他の一般投資家向け市場では大きな違いがあります。東京プロマーケットは実質としてほぼ資金調達が市場を通してされていません。一般投資家向け市場では資本市場としての流動性が高い、すなわち資金調達がなされやすい状況があります。

3.IPOのメリット・デメリット

IPOのメリットは、会社自体、株主、従業員とステークホルダーに分けて考えるとイメージがしやすいです。

会社としては、適時開示などの仕組み化とコンプライアンス強化の信頼による「資金調達のしやすさ」や「ブランディング」、「経営基盤の強化」が挙げられます。客観性を担保できる経営が行えるためマネジメントに合理性を持たせて安定を図りやすいです。

株主としては、適時開示の情報精度向上と市場を活用できる価値向上による「公正な株価の形成」や「株式の取引のしやすさ」、「株式価値の増加」が挙げられます。上場以前では株式が流通していないため売却が困難でしたが、上場後は売買しやすくなりますね。

従業員としては、適時開示などの仕組み化とコンプライアンス強化の信頼による「取引時の強み」や「労働環境のコンプライアンス強化」、「キャリアバリューの増加」が挙げられます。取引時の強みは、認知されやすく、信頼を得やすいといったブランディング効果に加え、資金調達しやすいため規模を持った勝負が仕掛けやすいといった強みがあります。

IPOのデメリットは経営面と費用面にわけて考えるとイメージがしやすいです。

経営面でのデメリットは、「経営責任ならびに企業の社会的責任の増大」や「株主対策の必要性の増大」、「経営意思決定の迅速化が求められること」、「ステークホルダーの増加や配慮の重要性の増大」、「経営の透明性の必要性」、「株価に対する責任」、「インサイダー取引の防止配慮の増大」、「管理コストの増大」が挙げられます。

費用面でのデメリットは「IPOまでの準備費用」、「IPO時の費用」、「上場後の維持費用 」が挙げられます。