8月1日、国税庁が出した所得税基本通達の改正案によると、「業務に係る雑所得の範囲の明確化」がされることになります。そのうちの1つが「年収300万円以下」なのです。

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年収300万円以下の副業は雑所得!?

これまで、副業の所得区分について、「事業所得」か「雑所得」か曖昧な部分がありました。

事業規模なのかどうか、片手間でやっているのか…。

ここについて、今回の改正案では「年収300万円を超えるか超えないか」という分かりやすい線引きをしてきました。

事業所得でも雑所得でも、「所得=収入―必要経費」という点は同じですが、事業所得の方がお得な制度が色々あります。

  1. 給与所得等との損益通算
  2. 青色申告特別控除
  3. 赤字の繰越し(3年間)
  4. 30万円未満の備品等を一度に経費にできる(少額減価償却資産)

などです。

雑所得であれば、これらの制度は摘要されないので、たとえ赤字であっても給与所得と損益通算はできないし、その赤字を翌年以降の黒字と相殺することもできません。

青色申告特別控除(要件により65万円、55万円、10万円を所得から差し引ける)も引けません。

300万円という金額が、副業を「事業としているかどうか」の線引きに妥当な金額なのかどうか難しいところです。

一般的にはそのくらいかなぁ…という気もしますが、事業を始めたばかりの年や、60歳になって早期退職&再雇用で給与が減って副業する場合などはどうでしょうか。

300万円に届かなくても、会社員をしながら「独立・継続・反復して」仕事をすることもあると思います。

不当に経費を計上して毎年赤字にして、給与所得と損益通算をするという過度な節税は、もちろん認められるものではありません。

しかし会社員をしながら副業を事業として行っていて、売上が毎月20万円くらいあっても、事業とは認められなくなるのでしょうか。

インボイス制度が始まるとどうなる?

さらに、2023年10月からインボイス制度も始まります。

インボイス制度は、事業所得でも雑所得でも関係なく、取引先から「インボイスを発行して欲しい」と言われれば検討する必要があります。

会社員をしながら、月々20万円くらい雑誌の記事を書いている、写真撮影をして掲載している、週末カフェをオープンしている、等の場合を考えてみましょう。

事業所得ではなく雑所得なので、青色申告特別控除も引けないし、赤字の年があってもその赤字を繰り越せません。

でも、出版社や運営サイトの会社やお客様からインボイスの発行を求められてインボイス発行事業者になれば、消費税を納める必要があります。

雑所得なのに消費税は納めなくてはならない…。副業をしている人にとっては、厳しい現実が突き付けられます。

副業を辞めようかなと考える人も少なからず出てきそうです。