税理士になるためには、資格を取得するだけではなく、「実務経験2年」が必要です。社会人経験も少なく長い間専業主婦をしていた私にとって、勉強することは楽しみが大きかったのですが、いざ社会に出て働こうと思うと、それは楽しみであると同時に大きな不安もありました…。

簿記論・財務諸表論・消費税の合格後、パートを始めたのは、大学院卒業間際の3月でした。論文もでき上がり、あとは国税審議会に提出して免除通知が届けば晴れて「税理士資格取得』という状況でした。

勤務先は、知人(同世代女性)の個人の税理士事務所。まだ30代前半の先生でしたが、開業からすでに数年経っていて、自分より年上の社長と対等にお話をし、決算申告会や租税教育の講師をする姿は、本当に憧れでした。通勤時間は約1時間で、勤務時間は9時半~15時半。長男が小学2年生、次男が幼稚園入園の直前でした。

長男を学童に入れ、次男は、仕事の日は朝1時間(8~9時)と午後3時間(14~17時)延長保育に預けました。働くことを考慮して延長保育が充実している幼稚園を選択していました。

週3日の勤務(繁忙期は週4日)で、しかも知人の事務所。今思えば恵まれた環境でスタートしたと思いますが、それまでの10年間が専業主婦だったので、働くことを決めたときは不安になりました。「あぁ…いよいよ仕事を始めるんだ!子どもたちは大丈夫かな?ちゃんと家のこともできるかな?」と。

それでももちろん就職しないなんて選択肢はありませんでした。だって税理士になるためにそれまでの数年間一生懸命勉強したのだから。

朝は6時過ぎに起き、次男のお弁当を作って2人に朝ご飯を食べさせて、長男を8時前に送り出し、次男を8時に幼稚園へ送って行き、それからすぐに出勤。9時半~15時半まで仕事。途中の約1時間の昼休みは、職場の人たちと一緒に近所に食べに行くことが多かったです。15時半になったら退社し、17時までに次男のお迎えに行き、夕飯を作ってお風呂に入れて、21時ごろに子どもたちを寝かせていました。

始めは忙しく感じましたが、すぐにその生活にも慣れました。勤務が週3日だと、勤務のない日は買いものや作り置きがしやすかったのと、残業がなかったので子どもたちとの時間も取ることができました。子どもたちも学童や延長保育にすんなり慣れていったようでした。

その事務所では主に入力作業が多く、途中からは3社ほど担当させていただいて、お客様にお会いしたり月次のご報告もするようになりました。ただし、決算書の作成については、教わりながら途中までは進めても、時間が来たら帰らせてもらっていて、最終的に仕上げるのは所長でした。やるように指示されたことはきちんとするように心がけていましたが、今思うと、気を付けなくてはいけないところ、数字の違和感などに気づけないことが多かったです。本当に、ただ、見たままに領収書の入力をし、言われたことだけをやっていた、という感じでしょうか。ミスをしてヘコむこともありましたが、基本的には時間区切りの気楽なパートの域を出ていなかったなと今になって思います。それでも私にとっては、それまでの専業主婦生活から一変し、緊張感とやりがいのある日々でした。

 

税理士法人勤務時代の一枚

そこには2年ほど勤務しました。途中で免除通知も届き、無事「税理士有資格者」になりました。この事務所の居心地はよく、早く帰ることに理解もあって大変有難かったものの、いつからか、最初のころに感じた緊張感とやりがいは小さくなっていました。そして、次男が小学校へ入学したら、もう少し大きな税理士法人で正社員として働いてみたいなと考えるようになりました。そしてそう考え始めたら、どんどんその気持ちが強くなってしまい、「まだ早いかな。でもなんとかできるかな」と思い、転職活動を始めました。パートの内勤とはいえ実務経験があることと、税理士の資格を取得していたことにより、転職活動はスムーズに行き、結局当初の予定より1年早く、次男が幼稚園年長になる少し前に、税理士法人へ正社員として転職したのでした。