子育てや介護で忙しい主婦だと、年収が103万円以下になるように意識しながらパートやバイトをしていることがあります。彼女たちにも年末調整は必要なのでしょうか。また、年末調整をすると何か得するのでしょうか。
年末調整とは
年末調整とは、正社員やパート・バイトなどの給与所得者の1年間の所得税を精算する手続きです。
勤務先の会社や個人事業主が行います。
毎月の給与や賞与から所得税が天引きされている
毎月の給料や賞与からは、一定額の所得税が天引きされています。
この天引きを「源泉徴収」と言います。
源泉徴収される所得税は、給与額と扶養人数だけを基準に計算された金額です。
次の表で導き出します。
【引用元】令和3年分給与所得の源泉徴収税額表(月額表)(国税庁)
所得税の控除を源泉徴収時は考えない
毎月の源泉徴収では、こういった控除は一切含めません。
結果、源泉徴収される所得税は通常、本来かかる所得税より多めになります。
1年の終わりに源泉所得税と本来の所得税を精算する
このままでは、所得税の納付額が不正確です。
そこで、源泉徴収した所得税と本来の所得税とを比較し、精算を行います。
この手続きを1年の終わりに行います。だから「年末調整」です。
源泉徴収した所得税額の合計が本来の所得税より多ければ還付に、少なければ最後の給与から徴収されます。
年末調整の流れ
年末調整は次の流れで行います。
103万円以下のパート・バイトで年末調整をするケース
子育てや介護で忙しい主婦だと、103万円以下で働くことが多いものです。
「年末調整は関係ない」と思われがちですが、実はそうでもありません。
扶養控除等申告書を提出すると年末調整の対象に
パート・バイトでも年末調整の対象になるのは「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出したとき」です。
この書類は毎年様式が変わります。
2022年の年末調整で使う用紙は次のようになっています。
【引用元】令和5年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(国税庁)
この書類を出した人が年末調整の対象となります。
源泉徴収されている所得税があるかどうかは関係ありません。
源泉所得税が0円でも、扶養控除等申告書を提出していれば「源泉所得税額0円」「年税額0円」で年末調整をします。
その他の提出する書類
年末調整では、次の用紙を出すこともあります。
- 基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書
- 保険料控除申告書
1は、扶養控除等申告書と同じく、たいていは提出します。
誰もが関係する基礎控除の情報が必要だからです。
2は、iDeCoや生命保険、地震保険などに加入して掛金や保険料を支払っているときに提出します。
これを提出するなら、控除証明書の添付も必要です。
ですが、103万円以下で控除申告書を出してもあまり意味がありません。
給与年収103万円以下の年税額は元々0円だからです。
iDeCoの年間掛金3万円を年税額0円から引いても、所得税0円は変わりません。
戻る税金は1円もないのです。