土地のみの固定資産税は高い
土地の固定資産税は、次の算式によって計算されます。
- 固定資産税額=課税標準額×税率(1.4%)
土地の課税標準額は課税台帳に登録された土地の価格を基にして、特例措置や負担調整措置といった措置を適用することによって算出されます。
課税台帳に登録された土地の価格は、総務大臣が定めている固定資産評価基準に基づいて算定されます。
具合的には、以下のような手順で算定されることになります。
- 不動産鑑定価格や地価公示等の価格情報をもとに、地域と地目ごとに土地の1平方メートルあたりの価格(「路線価」または「標準地単価」)を算定します。
- 1平方メートルあたりの価格に各土地の地積(平方メートル)を乗じたものが評価額となります。なお、宅地や宅地に準ずる雑種地については、個々の土地の形状等に応じて評価額の補正が行われます。
(引用:https://www.city.taketa.oita.jp/material/files/group/5/koteishisan-28.pdf)
土地の課税標準額は上記のように計算されますので、土地を更地として保有している場合、課税標準額は不動産鑑定価格や地価公示額など、土地の売買の際に利用される価格に基づいて算出されることになります。
しかし、同じ土地であっても宅地として利用している土地については、課税標準額が評価額の6分の1や3分の1となるなど課税標準額が下がる分、固定資産税は低くなります。
つまり、更地で土地を保有している場合・そうでない場合と比べて、固定資産税は高くなるということです。
以下では、住宅用地に対する課税標準の特例措置について解説します。
住宅用地に対する課税標準には特例措置がある
住宅用地には、課税標準の特例措置が設けられています。
土地を宅地用地として活用している場合には、税負担が軽減されるのです。
住宅用地の特例措置を適用した場合、住宅用地の区分に応じて固定資産税は以下のように算出されます。
住宅用地区分 | 固定資産税 | |
小規模住宅用地 | 200平方メートル以下の住宅用地(200平方メートルを超える場合は住宅1戸あたり200平方メートルまでの部分) | 価格×1/6 |
一般住宅用地 | 小規模住宅用地以外の住宅用地 | 価格×1/3 |
(引用:https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shisan/kotei_tosi.html)
上記の表からわかるように、小規模宅用地、一般住宅用地の課税標準額は、土地の売買価格ではなく、原則としてそれぞれの売買価格から1/6、1/3となるため、その分だけ固定資産税が安くなるというわけです。
「特定空家等」の敷地の適用除外がある
更地だと固定資産が高くなるのであれば、古い宅地ごと土地を購入してしまえば良いと考える人もいるかも知れません。
しかし、特定空き家に指定されると、上記で示したような土地にかかる固定資産税の優遇措置が適用されなくなります。
どうすれば土地の固定資産税は下がる?
土地を更地で保有している場合、宅地として保有している場合と比べると、固定資産税は高くなります。
その理由は、宅地の優遇措置を受けることができないからです。
以下では、固定資産税を下げるためにはどうすれば良いのかについて解説していきます。
土地の上に住宅を建てる
更地のままで土地を保有していると固定資産税が高くなってしまうので、土地の上に住宅を建てることでその土地を宅地とすることができます。
宅地となれば、優遇措置を受けられ課税標準額が下がる分、納めるべき固定資産税の金額は下がります。
土地を分筆する
土地を分筆して保有するのも固定資産税を下げる方法としては有効です。
分筆とは、登記上、土地を何人かで分割して保有することを言います。
分筆によって分割して保有することで、その分だけ一人あたりが負担しなければならない固定資産税は少なくなります。
固定資産税が上がるケースにも注意
従来、宅地として土地を利用していたケースであっても、以下のようなケースでは宅地として認められなくなります。
優遇措置を受けられなくなった結果、固定資産税が高くなることがありますので注意してください。
住宅を取り壊したケース
住宅を取り壊して土地ではなく更地となった場合、宅地の優遇措置を受けられなくなることから、課税標準額が通常の金額に戻ります。
取り壊し後は住宅用地ではなく非住宅用地となりますので、固定資産税が優遇を受けられたときと比べて高くなる可能性があります。
空き家を放置しているケース
もともと宅地として保有している土地であっても、以下のようなケースでは先に述べた特定空家等に該当するため、宅地の優遇を受けられなくなり固定資産税が上がる場合があります。
- 倒壊など著しく保安上危険となる恐れがある
- 著しく衛生上有害となる恐れがある
- 特定の管理が行われず、著しく景観を残っている
- 周辺の生活環境保全のために放置することが不適切である
まとめ
同じ土地であっても、宅地として保有するか、更地として保有するかで固定資産税額が変わってきます。
宅地として保有している土地については、税制上の優遇措置を受けられるため、固定資産税が安くなります。
もちろん、宅地として利用しなくなった土地については、税制上の優遇措置を受けられなくなるので注意してください。
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