個人事業主の領収書の扱いに不備や誤りがあると、会計処理や税額計算に影響を与える恐れが大きいです。今回は個人事業主が領収書の扱いで押さえたいポイントについて、受取・保管・発行の3つに分けて解説します。

この記事の目次

個人事業主が領収書の扱いに注意するべき理由とは

前提として、なぜ個人事業主が領収書の扱いに注意するべきであるかを解説します。

領収書の扱いに注意が必要な理由は、主に以下の3つです。

  • 領収書の扱いには厳密なルールが定められており、ルールに沿わない場合は領収書が無効とみなされる恐れがある
  • 正しい会計処理のためには領収書が必要であり、領収書のない取引は経費として計上できない恐れが大きい
  • 発行した領収書に誤りがあると、買い手側に迷惑がかかる・税務調査で指摘を受ける恐れが大きい

領収書の扱いに誤りがあると、本来なら経費にできる支出であっても経費として認められない、ペナルティの対象になるといった恐れがあります。

税負担および事務処理の手間を最小限に抑えるためにも、領収書の正しい扱いが必要です。

個人事業主が領収書を受け取る際に注意したいポイント

まずは、個人事業主が領収書を受け取る際の注意点について解説します。

宛名や但し書きを正しく伝える

領収書を発行してもらう際は、宛名や但し書きを正しく伝えることが大切です。

宛名は領収書の受取人、すなわちお金を払ったのが誰であるかを証明する項目です。

実際のところ、宛名の軽微なミスが原因で経費が否認されるケースは、あまり多くありません。

しかし、内容に誤りのある領収書はそれだけでリスクが存在するため、正しい内容を記載してもらうのが確実です。

但し書きは、取引の内容・目的を証明するための項目です。

但し書きが空欄の状態や、「お品代」のように内容が不明瞭な状態では、支払いの内容が分かりにくくなってしまいます。

つまり経費性の証明が難しくなり、不正・脱税行為とみなされる恐れも大きくなります。

経費であることをしっかり証明できるよう、但し書きは詳細な内容を記載してもらうことが大切です。

宛名・但し書きは、受け取る側が発行側に内容を伝えて記載してもらう部分です。

すなわち正しい内容を伝えなければ、発行される領収書の内容も正しくなりません。

正しい領収書を発行してもらうためには、宛名や但し書きを正しく伝えることが大前提となります。

発行された領収書はすぐに確認する

発行された領収書は、なるべく早く確認しましょう。

受け取った直後、その場ですぐに確認するのが理想です。

宛名や但し書きをしっかり伝えたつもりであっても、聞き間違いや書き間違いが起こるケースがあります。

また、日付・金額・店名などの不備や漏れも起こり得ます。

領収書を人の手で作成する以上、どうしてもミスのリスクをゼロにはできないのです。

領収書のミスを訂正できるのは発行側のみであり、受け取った側が勝手に訂正することはできません。

領収書の誤りに気付くのが遅くなると、訂正してもらうための手間が大きくなってしまいます。

正しい領収書を受け取るため、そして万が一ミスがあった時すぐに訂正してもらうためにも、受け取った領収書はすぐに確認しましょう。

レシートやクレジットカードの明細書は領収書の代わりになる?

まず、多くの場合にレシートは領収書の代わりとして利用できます。

レシートには領収書の項目のうち、宛名以外のすべてが記載されています。

購入したものやそれぞれの値段が細かく記載されているため、領収書よりレシートの方が取引内容の証明としては有用です。

経費を証明する書類として、レシートさえ保管していれば十分なケースが多いと言えます。

ただし、高額な取引の場合やレシートが簡易的で情報量が少ない場合は、領収書も発行してもらうと安心です。

クレジットカード会社から発行される利用明細書は、原則として領収書の代わりになりません。

クレジットカード明細書を発行するのは、取引の相手ではなく、第三者であるクレジットカード会社です。

経費の証憑として利用できるのはサービス提供者が発行した書類のみというイメージになります。

そのため、クレジットカードの明細書だけではなく、当該取引のレシートや領収書の保管も必要です。

ただし、クレジットカードの付帯サービスであるETCカードを利用した場合など、例外的にクレジットカード明細で問題ないケースもあります。

領収書をもらいわすれた場合の対処法は?

前述したように、多くの場合はレシートが領収書の代わりとして使用できます。

領収書をもらい忘れたものの、レシートはもらっていた場合は問題ないでしょう。

レシートも受け取っていない場合や、レシートはあるけど領収書も必要な場合の対処法としては、以下の3つが挙げられます。

  • 店に再発行を依頼する:もっとも確実な方法ですが、店側に再発行の義務はないため断られる恐れもあります
  • 購入証明書や支払証明書の発行を依頼する:領収書の再発行と同様に、必ずしも発行してもらえるとは限りません。また発行が有料のケースもあります
  • 出金伝票を作成する:日付・金額・内容など正確に記入しましょう。あくまで代用であり、多用や不正は厳禁です