個人事業主が加入する健康保険は、会社に雇用される人が加入する健康保険とは異なります。加入手続きを自身で行う必要もあるため、事前の確認が欠かせません。今回は、個人事業主の健康保険について詳しく解説します。

この記事の目次

個人事業主が加入できる健康保険とは

個人事業主が加入できる健康保険には複数の種類がありますが、国民健康保険に加入するのが一般的です。

国民健康保険について詳しく解説します。

【原則】国民健康保険に加入する

前述したように、個人事業主は原則として国民健康保険に加入します。

国民健康保険は、会社員や公務員以外の人を対象とした保険です。

社会保険やその他医療保険制度に加入していない人は、原則として国民健康保険に加入する必要があります。

公的医療保険には、社会保険や船員保険などさまざまな種類があり、それぞれ被保険者となる条件が定められています。

たとえば社会保険は民間会社に雇用されており要件を満たす人、共済組合は公務員や私学の教職員が対象です。

勤務先の種類や勤務形態に合わせて、加入する健康保険の種類が決まるイメージといえます。

国民健康保険は、各種公的医療保険の加入要件を満たさない人を対象とした保険です。

企業などと雇用契約を結んでいない個人事業主は、ほかの公的医療保険の加入要件を満たしていないケースがほとんどです。

そのため必然的に、各種公的医療保険の加入要件を満たさない人を対象とする国民健康保険に加入する人が多くなります。

国民健康保険加入手続きの方法

続いて、個人事業主が国民健康保険に加入する方法について解説します。

手続きを行う場所

国民健康保険の運営主体は市区町村です。

そのため、国民健康保険の手続きは市区町村の役所で行います。

役所に国民健康保険の窓口があるため、そちらで必要な手続きを行いましょう。

多くの自治体において、郵送による国民健康保険の加入手続きも受け付けています。

ただし郵送の場合、保険証の交付までに時間がかかる点に注意が必要です。

窓口の場合は当日中に保険証を受け取れるため、急ぎであれば直接訪問することをおすすめします。

必要な持ち物

国民健康保険の加入手続きをする際に必要な持ち物は以下の通りです。

  • 退職の事実を証明する書類:会社を退職し社会保険から外れたことを証明するために必要です。書類の具体例を紹介します
    • 健康保険資格喪失証明書
    • 雇用保険の離職票
    • 退職証明書
  • 本人確認書類:写真付きの身分証であれば1点、そうでない場合は2点必要です
  • 委任状:世帯主以外が手続きをする場合、委任状も必要になります

郵送で手続きを行う場合、国民健康保険の加入に関する届出書・申請書が必要になるケースもあります。

届出書の名称や送付が必要な書類は自治体によって異なるため、必ずお住いの自治体の公式サイトでご確認ください。

手続きの期日

国民健康保険の加入期日は、それまで加入していた公的医療保険の資格喪失日から14日以内です。

会社の退職により社会保険から脱退する場合は、退職日の翌日から14日以内に国民健康保険の加入手続きを行う必要があります。

なお、資格喪失日から14日を過ぎた場合でも、国民健康保険の加入手続きは可能です。

ただし14日を過ぎてから加入手続きを行う場合、それまでに発生する医療費は原則として全額自己負担になります。

加入手続きを済ませる前にさかのぼって保険適用を受けることはできません。

一方で、国民健康保険料そのものは、公的医療保険の資格を喪失した月の分から発生します。

すなわち国民健康保険の加入手続きが遅くなると、医療費は全額負担になるものの、保険料の支払いは発生する月が起こり得るのです。

必要以上に負担が大きくなる原因であるため、早めに加入手続きを済ませましょう。