個人で収入を得ている個人事業主やフリーランスの方は自分で所得税の確定申告を行わなければなりません。この記事では、個人で収入を得ている方の確定申告手続きについて詳しく解説していきます。

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個人での確定申告の種類

個人事業主やフリーランスなど、事業を行った結果として収入を得ている方については、ほとんどが事業所得となるので、サラリーマンのように給与所得を得ている方とは違う方法で所得を自分で計算し、申告しなければなりません。

1月1日から12月31日までにわたる1年間に発生した所得の金額とそれに対する所得税等の額を計算して確定させる手続きを「確定申告」と呼び、事業所得を得ている方は、原則として確定申告を行う際に、青色申告か白色申告を選択する必要があります。

そこで、ここでは青色申告と白色申告の概要を詳しく解説していきます。

控除額が大きい「青色申告」

青色申告とは、1年間に生じた所得金額を正しく計算し申告するため、収入金額や必要経費に関する日々の取引の状況を記帳し、また、取引に伴い作成したり受け取ったりした書類を保存することで、所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられる制度です。

青色申告を行うことで、最大65万円の控除を受けることができます。

青色申告を行う方については、新規開業をした場合(その年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合)、業務を開始した日から2以内に「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。

青色申告を行う場合、年末に貸借対照表と損益計算書を作成することができるような正規の簿記によることが原則であるため、複式簿記の知識が不可欠で、帳簿についても、保存しなければなりません。

インボイス制度が2023年10月から始まることもあって、新しい制度への対応も必要となります。

青色申告は、個人事業主の方が正確な所得を計算し、それに対する所得税等の額を計算して確定させることができますが、手間がかかるので、税制上の優遇である控除が他の制度よりも充実しています。

申告が簡単な「白色申告」

個人事業主やフリーランスの方が青色申告による確定申告を選択しない場合には、白色申告を行わなければなりません。

白色申告では、青色申告と異なり、事前の届け出は不要で、複式簿記に基づかない記帳でも問題ありません。

そのため、白色申告では、収支内訳書という1年間の収入と支出を記帳した書類を提出するだけで確定申告手続きは完了します。

個人での確定申告の対象者

所得税をはじめ、国の税金は、納税者が自ら税務署へ所得等の申告を行うことにより税額が確定し、この確定した税額を自ら納付するという申告納税制度が採用されています。

そのため、私たち一人ひとりが確定申告を行わなければなりません。

そこで以下では、確定申告をする必要がある人、確定申告をする必要がない人、確定申告をしたほうが得になる人とはどのような人なのかをそれぞれ解説していきます。

確定申告をする必要がある人

私たちは、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の金額とそれに対する所得税等の額を計算して確定させる必要があります。

この意味で、確定申告をする必要がある人というのは、1月1日から12月31日までの間に、何らかの所得がある人のことです。

ただし、何らかの所得がある人であっても、その年分の所得金額の合計額が所得控除の合計額を超えていないのであれば、確定申告を行う必要はありません。

平たく言えば、所得税を納めなければならないほど、所得があるわけではないからです。

所得には事業所得、給与所得、利子所得、不動産所得、譲渡所得など、様々な所得があり、それに応じて課税方法が異なっているので注意してください。

確定申告をする必要がない人

確定申告をする必要がないということは、上で説明したように、所得金額の合計額が所得控除の合計額を超えていないことを意味しています。

これ以外にも、確定申告をする必要がない人がいます。

それは、自分の代わりに勤務する会社が所得額とそれに応じた所得税額を計算し、納税まで行う、年末調整が完了している人です。

日本では、源泉徴収制度が採用されているので、給与所得者は会社から給与等が支払われる場合に、あらかじめ税金額が差し引かれています。

結果として、会社が従業員の代わりに各々の従業員の所得額とそれに応じた所得税額を計算してくれて納税まで行ってくれるため(これを年末調整と言います)、従業員は自分で確定申告を行う必要はありません。

したがって、確定申告をする必要がない人は、所得が所得控除の合計額を超えない人、もしくは、会社が年末調整を行ってくれている人ということになります。

確定申告をしたほうが得になる人

確定申告を行う必要がない人でも、給与等から源泉徴収された所得税額が年間の所得金額について計算した所得税額よりも多い場合には、確定申告をすることで、納め過ぎた所得税の還付を受けることができます(これを還付申告と呼びます)。

したがって、還付申告を行うことでお金が返ってくる人は、確定申告をした方が得になる人です。