国民年金保険料が未納である場合は、まずは催促が行われ、それでも支払わない場合には財産が差し押さえられることもあります。この記事では、国民年金保険料が未納だった場合にどうなるかを解説します。

この記事の目次

国民年金保険料が未納だと起こる可能性があること

国民年金保険料が未納である場合、以下のようなことが起こる可能性があるので注意してください。

将来もらえる年金額が減る

延納願いなどの申請をしない場合、国民年金の保険料は納付期限から2年以内ならば支払うことが可能です。

しかし、納付期限から2年以上経過すると時効が成立し、その後は納付することはできません。

国民年金保険料を納付しない場合、未納期間が長ければ長いほど将来もらえる年金額が減ることになります。

国民年金の年金額(老齢基礎年金)の計算式は次のとおりです。

・67歳以下の場合

79万5000円(2023年度)×(納付月数)/480カ月

・68歳以上の場合

79万2600円(2023年度)×(納付月数)/480カ月

国民年金の納付義務が生じる20歳から60歳までの40年間(480カ月)支払っていれば、老齢基礎年金を満額受け取ることができます。

2023年度(令和5年度)における67歳以下の方の国民年金の年金額は満額で年79万5000円です。

この計算式に基づいて、67歳以下の場合にどのくらい国民年金保険料が減るのかについては以下の表を参考にしてください。

未納期間 減額される額(月) 減額される額(年) 減額率(年)
1年 1,656円 19,875円 2.50%
2年 3,313円 39,750円 5.00%
5年 8,281円 99,375円 12.50%
10年 16,563円 198,750円 25.00%
15年 24,844円 298,125円 37.50%
20年 33,125円 397,500円 50.00%

遺族年金や障害年金が受け取れなくなるケースがある

国民年金保険料が未納な場合、その期間については将来受け取ることができる老齢年金の金額に反映されないことを説明してきました。

国民年金保険料を支払っていない場合には、これだけではなく遺族基礎年金・障害基礎年金の受給資格期間にも算入されません。

そのため、たとえば自分が一定の障害を負った場合に、障害年金を受け取ることができない可能性があります。

万が一死亡した場合でも、遺族に対して年金が支払われない可能性があります。

年金を納付期限までに納付しないとどうなる?

国民年金を納付期限までに納付しない場合、まずは納付を促す措置がとられます。

この納付促進は、原則として日本年金機構のスタッフによって行われますが、民間企業に委託されて電話や書面での通知により納付依頼が通知されるケースが多いです。

納付勧奨を行っても国民年金が納付されない場合には、財産が差し押さえられる可能性があります。

以下では、年金を納付期限までに納付しなかった場合に起こることを解説します。

財産の差押え

国民年金保険料の支払い能力があるにもかかわらず、納付の促進をしても保険料が支払われない場合最終通知書が送られます。

この場合、最終通知書に記された期限までに未払いの国民年金保険料を支払う必要があります。

それでもなお期限までに支払われない場合、強制的な支払いを求める書類(督促状)が送付されますので、督促状に記された期限までに保険料を支払うようにしましょう。

保険料の連帯支払い義務がある者(家庭の主人や配偶者)がいる場合には、その方に対しても督促状が送付されることになります。

もし、督促状に記載された期限までに未払いの国民年金保険料が支払われない場合、財産を差し押さえられることになります。

また、被保険者が連帯支払い義務を負う者(家庭の主人や配偶者)を持つ場合、その人々に対しても財産の差し押さえが行われます。

延滞金の加算

国民年金保険料が未納である場合、未納期間は延滞金が生じています。

延滞金は、納付期限の翌日から起算し、納付日の前日までの日数に応じて保険料額に対して一定の割合を乗じることで計算されます。

割合については以下の表のとおりです。

期間 延滞税特例基準割合 延滞金の割合A
(納付期限の翌日から3カ月を経過する日まで)
延滞金の割合B
(納付期限の翌日から3カ月を経過する日の翌日以降)
平成21年12月31日まで 14.60% 14.60%
平成22年1月1日から
平成26年12月31日
4.3% 4.3% 14.6%
平成27年1月1日から
平成27年12月31日
1.8% 2.8% 9.1%
平成28年1月1日から
平成28年12月31日
1.8% 2.8% 9.1%
平成29年1月1日から
平成29年12月31日
1.7% 2.7% 9.0%
平成30年1月1日から
平成30年12月31日
1.6% 2.6% 8.9%
平成31年1月1日から
令和元年12月31日
1.6% 2.6% 8.9%
令和2年1月1日から
令和2年12月31日
1.60% 2.6% 8.90%
令和3年1月1日から
令和3年12月31日
1.5% 2.5% 8.8%
令和4年1月1日から
令和4年12月31日
1.4% 2.4% 8.7%
令和5年1月1日から
令和5年12月31日
1.4% 2.4% 8.7%

(引用: 延滞金について|日本年金機構