年金は安泰だが、給付金減額のリスクに目を背けてはいけない

前述のように、年金制度自体が破綻する可能性は極めて低いと考えられています。

しかし、それは年金が確実に受け取れることを保証しているだけで、給付額が現在のレベルを維持できるとは限りません。

経済状況や人口動態の変化により、将来的に年金の給付額が減る可能性は否定できません。

したがって、自己責任の増大、働き方の見直し、そして私的年金の準備や資産運用の重要性を理解して、その上で自身の将来を設計することが求められています。

年金破綻を前提に行動するのは自己責任の増大

公的年金は、あくまでも社会的な安全網の一部であり、全てをこの制度に頼るわけにはいきません。

将来の年金が破綻する可能性がある、あるいは給付額が減少する可能性があると言って年金を見限ることは、老後生活を自助のみで成り立たせなければならないことを意味します。

現状において、日本で年金なしで暮らしていくことは相当難しいと言えるでしょう。

人口の高齢化や社会保障費の増大といった背景から、給付金額の見直しや制度改革は避けられない可能性があります。

そのため、自身の生活を支えるためには、自己責任を持って生活設計を考える必要があります。

これは、将来に向けた貯蓄や投資、キャリア設計など、自身で可能な範囲での対策を講じることを意味します。

受給開始年齢を遅らせ、長く働くことを考えよう

受給開始年齢を遅らせて長く働くことは、1つの有効な対策と言えます。

これにより年金の給付額を一定期間増やすことができ、また自身の収入を増やすことも可能です。

近年、健康寿命の延伸や労働環境の改善により、高齢でも働き続けられる環境は整いつつあります。

そのため、自身の健康状態やスキルを維持しながら受給開始年齢を見直し、働き続けることで経済的な安定を図ることは大切です。

私的年金の準備と資産運用の重要性

また、自身での対策としては、私的年金の準備や資産運用が重要となってきます。

公的年金だけではなく、企業年金や個人年金など自身で準備する年金も生活設計の一部として考えるべきです。

さらに、資産運用により長期的な視点での収入増加を図ることも可能です。

資産運用は、給付金額の減少リスクに対する保険とも言えます。

適切なリスク管理のもとで、長期的な視点で資産運用を行うことが年金制度の変動に対応する1つの手段となります。

まとめ

本記事では「年金破綻」というフレーズの現実的な意味合いと、その可能性を説明しましたがいかがでしたでしょうか。

年金制度自体が完全に機能しなくなる、破綻の可能性は極めて低いことを示しました。

その背景には、マクロ経済スライド方式による収支の調整、積立金の存在、そして働き方の多様化という3つの主要な要素が挙げられます。

しかしながら、年金が破綻しないという事実が給付額の現状維持を保証するわけではないことも重要な点です。

経済状況や人口動態によって給付額が減る可能性が存在するため、自己責任が増大する可能性があります。

そのため、受給開始年齢の見直し、そして私的年金の準備や資産運用の重要性が今後は高まっていくと考えられます。

結局のところ、年金制度は社会的な安全網の一部であり、我々個々の生活を完全に担保するものではありません。

自身の未来を見据え、適切な対策を自ら講じることが重要です。

老後の生活を安定させるためには、今から将来設計を行い対策を練ることが求められます。

それは貯蓄や投資、キャリア設計といった自己の生活設計を含むものであり、また受給開始年齢を見直して長く働く選択肢も1つです。


◆最新記事はKaikeiZine公式SNSで随時お知らせします。


 

KaikeiZineは会計プロフェッショナルの活躍を応援するキャリアマガジンです。インタビューや取材を通じての情報発信をご希望の方はお問合せください。
取材・掲載は無料です。
お問合せはこちら