「税理士試験は日商簿記1級を取るか、法学部または経済学部を出ていないと受けられない」。かつて、これが税理士試験の受験の目安でした。しかし2022年度税制改正で受験資格が緩和、2023年度の税理士試験から高校生でも受けられることになりました。今回、緩和のポイント2つをお伝えします。
この記事の目次
【登場人物】
よっちゃん(以下「よ」):まゆこの夫。行政書士。仕事はできるが税金はくわしくない。特技は料理と釣り。夢は釣り三昧の日々。
まゆこ(以下「ま」):税理士・税務ライター。「こむずかしい税金をいかに分かりやすく表現するか」ばかり考えている。趣味は、よっちゃんのごはんを食べること。
長女ちゃん(以下「長」):鈴木家の長女。高校生。趣味は魚を釣ることと馬(血統表を含む)を見ること。
税理士の長女「税理士試験を受けてみろ」と迫られる
長「税理士試験なんて……私まだ高校生だよ?無理に決まってるじゃん」
よ「そうだよ。税理士試験って受験資格があるでしょ。まゆ子が思い立ってすぐ税理士試験を受けられたのは法学部卒業してたからだし」
ま「確かに以前は受験要件が厳しかったよ」
ま「でも、2022年度の税制改正で受験要件がゆるくなったの。2023年度の税理士試験から受けられる人がグッと増えたんだよ」
緩和のポイント1. 会計科目の受験資格が撤廃に
ま「受験資格の緩和1つ目。会計科目の受験資格がなくなったの」
よ「ん?ということは……」
ま「簿記論と財務諸表論は誰でも受けられるってこと。これまでは、さっき言った受験資格がないと、どちらも受けられなかった」
よ「大幅緩和だね」
長「お母さん、私はまだよくわかってないんだけど……」
ま「2022年度の税理士試験まで、簿記論を受けるにしても財務諸表論を受けるにしても、受験資格の条件に合ってないとダメだったの」
長「『日商簿記1級に合格している』とか『2年以上の租税や会計の経験』とか『法律学か経済学に属する科目を履修した』とか?」
ま「そう。でも、2023年度の税理士試験から、そういう受験資格がぜーんぶなくなったの」
よ「つまり、何の単位も取ってない大学1年生でも受けられるし、高校生でも受けられるってことだね」
長「なるほど。だからお母さん、私に押しつけ…いや、勧めてきたのね」
ま「ちなみに先日、8歳の子が簿記3級に合格したっていうニュースが流れてきたよ。あの子だって会計科目を受けて合格しようとすればできるってわけ」
参考:8歳で簿記3級合格 独学で「やり遂げた」 夢はプログラマーで起業(Yahoo!ニュース)
緩和のポイント2. 税法科目の受験資格が「社会科学系の単位ならOK」に
ま「受験資格の緩和2つ目。税法科目の受験資格が一部ゆるくなった」
長「どうゆるくなったの?」
ま「学識による受験資格の一部分のところ。以前は大学の卒業生でも在学中の人でも『法律学に属する科目』『経済学に属する科目』を履修していないとダメだったの」
よ「そうだったね。今は?」
ま「『社会科学に属する科目』を履修していたなら税法科目を受けてOK、ってなったわけ」
よ「イメージで言うと……法学部か経済学部の出身でなくても受けられるようになった、って感じ?」
ま「そうね。もっとも『学部がどこか』ではなく『どういう科目を履修したか』の話なんだけど。これがぐっと幅広くなったわけ」
長「私が今勉強したいのってデザインなんだけど……進学する大学の単位をうまく選べば、在学中でも受験できるのかな」
ま「そうね。情報学とか社会学とかを勉強して単位を取れば税法を受験できるよ。ただ、大学生については『どれだけ単位が取れているか』が問われるから、大学3年・4年次が受験の目安になるかな」
よ「まぁ、ともかく、前ほど出身学部のしばりを受けなくてすむようになったわけだね」