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税理士試験 懸念される受験者の高齢化  会計事務所業界は超高齢化社会に

昨年12月15日、平成28年度税理士試験の合格発表があった。当サイトでも速報を伝えたが(https://kaikeizine.jp/article/3979/)、合格者数の減少と同時に懸念されるのが、税理士試験の受験者の高齢化だ。会計事務所の現場では、若い人材の積極採用を考えているものの、この数年で見ても40歳以下の受験者の減少が進行している。

日本税理士会連合会(日税連、神津信一会長)によれば、税理士の登録者数は2016年12月末現在、7万6351人。その平均年齢は60歳を過ぎており、日税連の「第6回税理士実態調査(2015年)」の年齢構成を見ても60歳以上が53.8%を占めている。(下記の表参照)

*表は第6回税理士実態調査を集計し掲載したもの。

上記表の「開業税理士」とは、独立開業している個人の税理士。「補助税理士」は、現在の「所属税理士」のことで、いわゆる勤務しているサラリーマン税理士のことだ。「社員税理士」は、税理士法人を設立した代表者のことで、開業税理士との違いは、個人事務所か法人との違いがある。
表を見て一目瞭然だが、税理士業界は超高齢化社会であり、50歳以下で開業している税理士は僅か18.6%に過ぎない。税理士法人を見ても、個人開業する割合よりも多いが、38.3%となっており、働き盛りの30~40歳台で37.9%にとどまっている。
そのため、若い人材を会計事務所サイドでは求めているが、税理士試験の受験者を年齢別に見ても、40歳以上が増えている一方で、それ以下の年齢層で受験者が減っている。

税理士試験の受験者数自体、この数年減少傾向であるが、上記表の通り、40歳以上は若干右肩上がりで推移している(図1参照)。
税理士試験の受験者数は、平成27年度に4万人を割り3万8175人なり、同28年度には3万5589人となった。この数年3千人規模で受験者数が減り、今後3万人前後まで落ち込む可能性が高くなっている。

税理士試験合格者は40歳以上が右肩上がり

受験者数に比例して、税理士試験の5科目合格者も高齢化しており、延びているのは41歳以上だ。25歳以下は、そもそも合格者が50~60人と少ないため、大きな変動は見受けられないが、40歳以下は軒並み減少している(図2参照)。

税理士試験合格者の高齢化は、試験制度自体の影響が大きい。
というのも、税理士試験は、簿記、財務諸表論のほか税法3科目の合計5科目に合格しなければならないが、なにも一度に5科目合格する必要がない。1科目ずつの積み上げでよく、そしてそれは何年掛けても良いのだ。
税理士試験の問題が難しくなっていることこら、一般的に受験生は1年で1科目合格を目指し、5年計画で5科目合格を目指すケースが多い。そのため、大学卒業後に税理士を目指すと、5科目合格するまでにかなりの年月がかかり、30歳代を過ぎていると、会計事務所に就職しながら試験にチャレンジするため、さらに5科目合格が遅れるのだ。

若者を増やすために試験制度改革の必要性も

税理士は中小企業経営者の参謀役とよく言われるため、ある程度の年齢と人生経験を積んでいることが求められるが、それにしても税理士業界の高齢化は極端だ。サラリーマンと違い、定年退職がないことで高齢化に拍車を掛けているが、試験に合格して業界に入ってくる税理士のタマゴも高齢化していることが影響している。そのため、若者を増やし、業界自体の活性化を図るべきとの声も少なくない。ただ、若者の中からは、「就職難と違い、大手企業に就職できる時代にあって、難しい試験を受けてまでも税理士を目指す価値が有るのか」、「20~30歳代を受験勉強だけで過ごすのはもったいない」との声もある。

いずれにしても、次代を築いていくのは今の若い人たちだ。この若い世代の受験生、合格者を増やさなければ、税理士業界の未来は開けないといっても過言ではない。会計事務所も、税務・会計を中心としたコンサルティング会社的な存在になってきており、グローバルに活躍するケースが増えてきた。10年前とは仕事内容も変わってきており、その魅力を若い世代に伝えていく必要がある。併せて、若い人でも受かりやすい試験制度を模索していく必要があるのではないだろうか。将来の税理士法改正において、試験制度の抜本改革が実現されることに期待したい。

著者: 宮口貴志

KaikeiZine編集長

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は租税研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャーとしても活動。
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