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【コラム】美容整形外科の税務調査 院長宅はネタの宝庫

最近、美容外科のテレビCMが増えた。中東ドバイ上空をヘリコプターに乗って院長が登場するものから、医師たちが出てきて「好きな言葉は感謝です」「私たちは○×美容外科クリニックのドクターです」というCMなど、1カ月の放映費もかなりの金額になると思われる。噂では5千万円とも、それ以上とも言われ、美容整形外科業界は、成長市場との印象が強い。儲かっている業種となれば、それが医師だろうが、税務署は監視の目を光らせているのは当然だ。

 

美容整形外科の特徴は、すべて自由診療であり、患者自身が費用負担する。そのため、美容整形外科のホームページの料金表を見ても、非常に細かく料金設定している。
患者の大半が、誰にも知られないようにこっそり受診するため、一般病院のように口コミで評判が広がりにくく、テレビCMや広告を活用するケースが多いとされる。そのため、他の病院とは経営システムが異なることから、税務調査に際しては、特に業種業態に精通する必要があるという。

国税OB税理士の話では、美容整形外科は、雑誌や新聞の折り込みチラシ等の広告媒体を営業活動として使うため、日頃から、これらの広告情報を丹念に収集していると言う。また、多くの医師が、インターネット上にホームページを開設しているため、予約から手術後のアフターケア及び手術の方法、治療期間、料金、支払方法等の情報がそこから入手可能。これら情報も、日頃から国税当局のデータベースに蓄積されている。

これだけの情報がそれほど手間をかけずに入手できるため、調査官の間では、不正をしているか否かのチェックがかけやすい業種との指摘もある。

美容整形外科の調査ポイントは、なんと言っても広告宣伝費。美容整形外科は、他の医療保険業に比べると、広告宣伝費の割合が比較にならないほど高いため、同業者と比較し過大ではないか・交際費になる部分が広告費に便乗していないかなど検討される。このほか、人件費は、広告宣伝費とともに経費に占める割合が高い業種なので、不正計算の多い科目と言われているため、特に注意してチェックされる。

料金表から売上げ適正かの検討も詳細に行われる。美容整形外科は、すべて自由診療料であるため、料金体系は病院によりさまざま。そkどえ、調査受検前の検討として手術料金の確認が重要と言う。

このほか、診療室・院長室・事務室は、営業活動における原子記録等が作成される場所であるため、不正発見のカギを握る。また、理事長や院長の自宅も、カネやモノが集約される場所であることから、不正計算の痕跡が発見される可能性が高い。そのため、税務調査ともなれば必ずと言っていいほど調査されるので、頭に入れておく必要がある。たとえば、こうした場所からは、収入除外のメモや仮名預金などのメモ類を発見できる可能性が高い。税務調査官は、自宅訪問に当たっては、前述したような証拠書類のほか、「建物や内部の調度品などから、生活面から報酬等に合致しているかもチェックする。特に絵画や骨董品などがあれば、どのくらいのモノなのか、それらも検討する」と国税OB税理士は言う。

全国展開する美容整形外科は、ホームページを見ても分かるが、国内だけでなく海外の患者も少なくない。英語や中国語、韓国語などでもホームページを見ることができ、営業活動もグローバルになっている。市場がグローバルになれば、儲けも増えるわけで、税務調査官の目もそれだけ厳しくなってきているのだ。

著者: 宮口貴志

KaikeiZine編集長

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は租税研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャーとしても活動。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
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