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新スキャナ保存法 9月30日から申請スタート スマホ・デジカメでの撮影データも可能に

平成28年度税制改正で国税関係書類に係るスキャナ保存制度が見直されたが、その適用申請の手続きが9月30日から始まる。さらに使い勝手が良くなったが、会計事務所の反応は思ったほどではないようだ。

平成28年税制改正で見直された、いわゆる“新スキャナ保存法”を最短の平成29年1月1日から適用する場合、平成28年9月30日には申請書を税務署へ提出しなければならない。適用要件として、「適用開始の3ヵ月前の日」までに申請書を提出することになっているためだ。

すでにスキャナ保存法の適用を受けていても、新たなスキャナ保存法の適用を受けたい場合は、改めて新制度の適用申請が必要だ。もし新制度の適用申請の申請書を提出していない場合は、従来要件での保存となってしまう。

新制度の適用メリットは、現在限定されている固定式スキャナに関係なく、スマホやデジタルカメラで撮影した画像でも、電子データとして帳簿保存が可能という点。ただ、デジカメ・スマホで保存した場合は、従業員が受領後「3日以内」にタイムスタンプを付与することが必要となる。

電子保存できる国税関係書類は、契約書や領収書、請求書、納品書、見積書、注文書など。決算関係書類はスキャナ保存が認められていない。

今回の見直しでは、相互けん制要件及び定期検査要件についても一部改正され、
①デジカメ・スマホ撮影の場合には、経理担当者等が記録事項の確認を行う。
②定期検査を終了するまでの原本保存については本店・支店・事務所・事業所等での保存。
③小規模事業者については定期検査要件を税務代理人の検査でも可となった。
なお、③については、中小企業基本法で定める小規模事業者、おおむね常時使用する従業員数が20人(商業またはサービス業に属する事業として営むものは5人)に限り、現在は制度利用に最低、受領者・経理担当者・検査担当の3人が関わらなくてはならないところ、導入後は企業の担当者+税務代理人の2人で利用できることになっている。

メーカー先行、税理士は様子見

使いやすくなったスキャナ保存制度だが、2005年の導入当初は要件が厳しく、ほとんど利用されていなかった。そのため、2015年、2016年と2年連続で法令改正が実施され、要件が大幅に緩和。使いやすさが格段に上がった。

その効果もあり、少しずつだが電子データ保存する企業が増え始めてきたのだが(図表参照)、中小企業経営者においては、「導入コストがかかりそう」「大企業が利用する制度」と思い、利用には関心が薄い。導入メリットなどを経営者に話すアドバイザーが身近にいないためだ。

企業の「帳簿」は、たとえば総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳などがある。また、「書類」には、棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書などがある。これら帳簿書類を青色申告法人においては、平成20年4月1日以後に終了した欠損金の生じた事業年度においては、帳簿書類の保存期間が9年間。また、平成29年4月1日以後に開始する欠損金額の生ずる事業年度においては、帳簿書類の保存期間が10年間に延長される。旧商法及び会社法上の帳簿の保存期間は10年間だ。中小零細企業でも、これだけの保存期間になると、その保管コストだけでもかなりの負担になる。これを電子データにしてしまえば、領収書や証憑をさまざまな条件でかんたんに検索できるほか、コスト削減や業務効率化にもつながる。

こうしたアドバイスは、経営者の参謀役でもある税理士や公認会計士など適任だ。とはいうものの、税理士や公認会計士は電子データ保存にこれまであまり積極的ではなかった。紙による保存に慣れていることから、電子データ保存による利便性を感じ取れていなかったからだ。

今回、さらに利便性が高まり、中小零細企業にいては、定期検査要件などの緩和措置も設けられた新スキャナ保存制度。普及には、税理士・公認会計士が大きなカギは握っているといっても過言ではない。

著者: 宮口貴志

KaikeiZine編集長

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は租税研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャーとしても活動。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
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