「公平」にはいろいろある

よ「公平に、納得できるように…か。ひとまず10万円ずつだな。わかりやすいし」

ま「でもそれだと三女ちゃんのお財布、すっからかんになっちゃうよ」

よ「じゃあみんな30%ずつ出すのはどう?」

ま「なぜ?」

よ「同じ割合だから納得しやすいかなぁと思って」

ま「なるほどね。でも、次女ちゃんと三女ちゃんがかわいそう」

よ「どうして?」

ま「お金を出したら次女ちゃんは14万円、三女ちゃんは7万円しか残らないよ。長女ちゃんは払っても残金49万円なのに。『お姉ちゃんばかり、ズルイ』って思うかもしれない」

ま「長女ちゃんが30万円全部出すというのは?30万円払っても長女ちゃんの手元には40万円残るし、次女ちゃんの20万円と三女ちゃんの10万円もキープできる」

よ「今度は長女ちゃんがかわいそう。高校生なりの事情があるでしょ。教材費やら部活やら友だちづきあいで小学生や中学生よりお金がかかる。『お金があるから』だけで全部負担させるのはどうかと思うよ」

ま「じゃあ負担する割合をちょっと変えるのは?長女ちゃんの払う割合を高くして、他の2人の割合は低めにする」

よ「さっきのよりいいかも。ただ、それでも『妹たちばっかりラクでいいな』と長女ちゃんが思いそう」

できるだけ公平にするための「50種類」

ま「このやりとりで出た案って、それぞれちゃんと意味があると思わない?」

よ「そうだね。『公平にするにはどうしたらいいか』を考えてたよね」

ま「そうなの。実際、今まで考えた『お金の出し方』案、税金にもあるんだよね」

ま「集め方にもそれぞれ特徴があるの。例えば所得税や法人税、消費税や相続税。こんな感じだよ」

【引用元】わが国税制の現状と課題―令和時代の構造変化と税制のあり方―(令和5年6月)|税制調査会

ま「どの税金も『公平になるように』と考えられているの。ただ、それでも一つだけにすると誰かが泣きをみる」

よ「うん。さっきの例だと、長女ちゃんだけが負担すると、長女ちゃんだけが大変になる。同じ割合の集め方1つにすると、次女ちゃんと三女ちゃんの手持ち資金が一気に減る」

ま「だから、国民全体にとってより課税が公平になるように、50種類の税金があるわけ」

よ「なるほど」

ま「所得税や相続税は個人それぞれの抱えている事情を考えた課税をしているよ。さっき、よっちゃんも、長女ちゃんの高校生なりの事情を考えていたよね。あんな感じ」

よ「個人に直接かかる分だけ、それぞれの個人的な事情を配慮した上で『税金をどれくらい払えるか(担税力)』を考えているんだね」

おまけ:鈴木家三姉妹にもお金の出し方を聞いてみた

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